毎年給料から否応なしに徴収される税金ですが、なんとか少しでも取り戻したいものです。
苦しい家計から支払っている損害保険の保険料の一部が、年末調整や確定申告をすることで、所得から控除されて、税金を若干ですが取り戻すことができます。
損害保険と税金
所得には、利子所得や配当所得、給与所得、一時所得、雑所得など10種類もあります。
個人が1年間に得た所得からは所得税が徴収されますが、所得税は「所得金額」にそのまま税率を掛けて算出される訳ではなく、「所得金額」から「所得控除」を差し引いて、「課税所得金額」を算出して、これに税率を掛けて、更に税額控除(住宅ローン控除・配当控除・政党等寄付金特別控除など)を差し引いて、税額を決定することになります。
「所得控除」には、配偶者控除や社会保険料控除などがあり、その1つに「保険料控除」があります。
上記の「所得税の計算方法」のとおり、「所得控除」は税額そのものがマイナスされる「税額控除」と異なり、税率を掛ける前段階で差し引かれるものです。
例えば、保険料控除額が15,000円だとしても、15,000円まるまる税金が安くなる訳ではなく、15,000円に課税所得に応じた税率を掛けた金額だけ税金が安くなりますので、課税所得金額が400万円であれば、20%の3,000円が安くなります。
保険料控除で課税所得が減ると、所得税が安くなることに加えて、住民税も安くなりますので、15,000円の保険料控除を申告すると、所得税が安くなる3,000円だけではなく、住民税も安くなります。
損害保険の保険料控除とは
2006年度(平成18年度)の税制改正で、2007年(平成19年)1月1日から火災保険、傷害保険などに適用されていた損害保険料控除が廃止され、新たに地震保険料控除が新設されました。(残念ながら自動車保険の保険料は損害保険料控除の対象外です)
なお、経過処置として、地震保険ではない長期損害保険契約(年金払積立傷害保険や積立傷害保険、積立火災保険など)のうち、一定の条件を満たす契約には、「地震保険料控除制度における経過処置」の対象となり、損害保険料控除が適用されます。
保険契約者自身、もしくは保険契約者と生計を共にする配偶者・その他の親族が所有し、常時住居として使用される建物またはこれらの方が所有する家財を保険の対象とする地震保険契約が、地震保険料控除の対象となります。
経過措置が適用される長期損害保険契約
地震保険ではない長期損害保険契約(年金払積立傷害保険・積立傷害保険・積立火災保険等)のうち、下記のすべてを満たしている契約は、地震保険料控除制度における経過措置の対象となり、地震保険料控除が適用されます。
(1)保険期間の開始日が平成18年12月31日以前の契約
(2)保険期間が10年以上で、満期返れい金がある積立保険の契約
(3)平成19年1月1日以降、保険料の変更を伴うご契約内容変更の手続がない契約*1*2
*1 地震保険料部分の保険料の変更は「変更」には該当しません。
*2 保険料の変更を伴う契約内容の変更があった場合は、その変更となった年の1月1日に遡り、経過処置のの対象外となります。
地震保険料控除の適用限度額
地震保険
1年間で支払った保険料の合計額 | 所得控除額 | |
所得税 | 50,000円以下 | 地震保険料全額 |
50,000円超 | 50,000円 | |
住民税 | 50,000円以下 | 地震保険料×2分の1 |
50,000円超 | 25,000円 |
経過処置が適用される長期損害保険
1年間で支払った保険料の合計額 | 所得控除額 | |
所得税 | 10,000円以下 | 地震保険料全額 |
10,000円超 20,000円以下 | 損害保険料×2分の1 +5,000円 | |
20,000円超 | 15,000円 | |
住民税 | 5,000円以下 | 地震保険料全額 |
5,000円超 15,000円以下 | 損害保険料×2分の1 +2,500円 | |
15,000円超 | 10,000円 |
1つの契約(証券番号単位)で、地震保険料と経過措置が適用される長期損害保険料の両方に該当する場合は、いずれか一方の控除のみ適用できます。 複数の契約を通じ、地震保険料と経過措置が適用される長期損害保険料を合算する場合の限度額は、所得税が50,000円、住民税25,000円となります。
まとめ
毎年10月頃になると、保険会社から「保険料控除証明書」のハガキが送られてきます。(新規契約の場合は、保険の証券に付属しています)
損害保険料控除は、は2006年(平成18年)以前に加入した積立型の損害保険を除き、地震保険の保険料しか対象になりませんが、わずかでも税金が取り戻せる「損害保険料控除制度」を利用したいものです。
サラリーマンの人は年末調整での手続きになり、その他の方は確定申告での手続きになりますので、忘れずに申告しておきましょう。