2021年1月の大雪による建物被害 火災保険で補償される雪災の3つのパターンとは

火災保険料値上げ2022 その他の損害保険

2021年1月7日から8日朝にかけて、日本海の低気圧が急速に発達しながら東へ進み、東北北部を通過、千島近海に進みました。日本列島に強い寒気が流れ込み、北陸を中心に記録的な大雪になりました。新潟県上越市では、9日1時までの24時間降雪量は103センチ、富山市では、9日18時までの48時間降雪量は107センチを観測するなど、観測史上1位の値を更新しました。

このような大雪が降り、建物などに多くの積雪があると、いろいろな雪害が発生しますが、その被害は火災保険で補償されるのでしょうか。

雪害は全ての火災保険で補償されるのか

火災保険の補償内容には、加入するコースで異なりますが、主な補償内容は以下の通りとなります。

  • 火災・落雷・破裂・爆発
  • 風災・雪災・ひょう災
  • 盗難
  • 水災
  • 水濡れ・外部からの物体の落下や飛来
  • 破損・汚損など

火災保険で補償される内容は加入しているコースにより異なります。

ここでは、安い保険料で有名なセコム損保の(セコム安心マイホーム保険の3つの基本補償プラン)で比較してみます。

セコム安心マイホーム保険の3つの加入プランは以下の通りとなっています。

セコム安心マイホーム保険の補償内容

セコム損保のHPから引用 *破損・汚損の補償は特約として加入(破損・汚損損害等補償特約)

セコム損保のプラン別補償内容を見ていただくと、雪災は全てのプランで補償対象となっています。

各保険会社が発売している火災保険は、ほとんどセコム損保と類似しているパターンで販売していますので、民間の保険会社に加入している火災保険については、全て雪災は補償対象になっています。

*一部の共済は補償内容が異なりますので注意が必要です。

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雪災の被害と認められる3つのパターンとは

火災保険における「雪災」とは、「豪雪の場合におけるその雪の重み、落下等による事故または雪崩をいいます。

具体的な雪災の被害は以下の3つに分類されます。

積雪荷重による損害

火災保険で雪災として認められる積雪荷重による代表的な損害は以下の通りとなります。

  • 屋根への積雪により建物が倒壊した(損傷した)
  • 屋根の積雪が滑落し、煙突やアンテナなどが破損した
  • 屋根にできた雪庇により軒先や雨どいが損傷した
  • 地表への積雪と屋根からの落屑が堆積し、その圧力で外壁やガラスが破損した
  • 雪の重みによる地盤沈下によって建物が傾斜した

雪庇とは
雪庇(せっぴ)とは、建物の屋根などにできる雪の塊である。また、雪の積もった屋根から雪がせり出している状態のことも雪庇と言う。

落雪による被害

火災保険で雪災として認められる落雪による代表的な被害は以下のとおりとなります。

  • 屋根からの落雪によりエアコンの室外機が破損
  • 落雪の際の衝撃により外壁が破損・へこみの損害が生じた
  • 屋根からの落雪で塀や門などが破損した

雪崩による被害

台風や大雨の時に発生する土砂崩れなどは、火災保険では水災として扱われますが、雪崩による損害は雪害として扱われます。

また、融雪水による浸水被害や除雪作業による事故は雪災とはなりません。

知らなきゃ損する 意外と広い雪害の補償対象とは

一般的に住宅の場合は建物と家財それそれ火災保険に加入しますが、建物の火災保険に加入した場合には、建物本体だけでなく、付属物まで補償の対象となります。

建物の火災保険に加入した場合の補償範囲は以下のとおりとなります。

  • 建物本体(建物とは、土地に定着し屋根及び柱または壁を有するもの)
  • 建物付属設備(建物に定着しているエアコンや室外機、太陽光発電機、TVアンテナ、蓄電池機など)
  • 物置、車庫、門、塀など(建物の火災保険に加入した場合、保険証券に「含まない」と記載しない限り補償の対象になる)
  • 屋外設備(物干しや遊具、外灯等の屋外設備については、保険会社により扱いが異なり、補償される範囲や価値などが限定されている場合があります⇒100万円以下等)
  • 庭木(樹木等の庭園植物も加入している保険会社により補償されな場合があります)
    *鉢植えや草花などは基本的に対象外

注意したい「雪災」の支払い条件

「雪災」の補償については、長期契約などはその加入時期にもよりますが、いくつかの支払い条件があります。

20万円フランチャイズ

20万円フランチャイズとは、「風災・ひょう災・雪災」の損害の額が、1事故20万円以上になった場合に、その損害に対して保険金が支払われます。(住宅総合保険や店舗総合保険などの古い火災保険はすべてこの方式です)

この支払い条件の特徴は、20万円未満の損害が発生した場合は保険金は支払われませんが、20万円以上の損害が発生した場合には、損害額に対して保険金が支払われます。(30万円の損害が発生した場合に30万円-20万円=10万円の保険金を支払うものではなく、30万円全額が支払われます)

損害額20万円以上の認定単位は、雪災の損害が発生した保険の対象について、敷地内の被害を一括して損害額の認定を行います。(建物の損害については、加入している建物本体以外にも、物置や車庫などの付属物の損害も合算します)
たとえば、雪災の損害額が、建物15万円・物置10万円であった場合は、合計25万円の損害として補償されます。(もし家財にも火災保険に加入していて、家財にも被害があった場合は、家財の損害額も合算します)

また、加入している火災保険が建物と家財と別々な保険会社に加入している場合や、加入している保険の種類が異なっている場合でも、その損害額の合計が20万円以上であれば支払い対象となります。

また、雪害などは、シーズンを通して損害が発生しますので、1回の事故としての認定ではなく、シーズンを通しての損害の合計が20万円以上の損害になれば支払い対象になります。

免責金額方式(自己負担額設定方式)

「風災・ひょう災・雪災」の免責金額(自己負担)方式とは、雪害等の損害額にかかわらず保険金が支払われる方式ですが、免責金額(自己負担額)を「免責なし・1万円・3万円。5万円」などから選択でき、「免責なし」を選択すると、損害額にかかわらず全額補償されます。(この場合の保険料は、免責金額が大きいほど安くなります。)

「風災・ひょう災・雪災」による被害の多くは小損害である場合が多く、10万円以下の損害も少なくありませんので、保険料が割高になりますが、「免責なし」を選択することをおすすめします。

小損害の例
●自宅の物置が強風で転倒  ⇒ 10万円以下の損害
●強風で屋根の雨どいが破損 ⇒ 10万円以下の損害
●屋根のアンテナが強風で破損⇒ 5万円以下の損害 など

雪害が発生した場合の対処の仕方

雪害などを火災保険に請求するためには、加入している保険会社に「事故報告」をしなければなりません。

「事故報告」を受け付けた保険会社は、発生した被害(雪害)の損害認定をして、支払う保険金の額を決定しますが、その損害認定のためには、「損害保険鑑定人」が現場検証をして損害の認定を行う必要があります。(小損害などの場合は省略もあり)

しかしながら、2021年1月の大雪では、北陸や東北地区などに大量の雪害が発生しており、損害保険鑑定人の現場検証が追い付かない状況が発生しています。

このような広域災害の場合は、とりあえず、建物や付属設備などの損傷個所の写真を撮り、修理業者の見積もりを取り寄せて、修理をしてしまいましょう。(損傷個所によっては修理をしなければ被害が大きくなる可能性もあります))

加入している保険会社には、修理開始の連絡をしておけば、修理見積に問題がなければ保険金の請求には影響ありません。

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