自動車保険のはじまり
日本の自動車保険は1914年に東京海上火災保険(現在の東京海上日動火災)が最初に認可を受けたのが始まりですが、当時は自動車自体が全国で1000台ちょっとしかなく、しかも補償内容は車両保険が中心でした。
自動車保険の発展に大きく貢献したのが、「自動車保険料率算定会」が示すいわゆる「算定会料率」を損害保険会社全社が採用して、制度的な安定を背景に、急激な戦後のモ タリゼ ションの進行とともに、 自動車保険も発展し普及してきました。
自賠責保険の創設
戦後、自動車保有台数の増加に よって交通事故も急増し、社会問題化 しました。そのため、自動車人身事故の被害者を広く確実に救済することを目的に、1955年に 自動車損害賠償保障法が制定 され、同法 に基づいて自賠責保険が創設されました。
以後、自賠責保険について 、強制保険として確実に加入させ 無保険自動車を防止する仕組みづくり、損害賠償額水準の高額化 を背景とした保険金額引上げなど、 被害者救済のための改定が行 われていきました。
自動車保険についても 、自賠責保険の 「 上乗せ保険」と しての対人賠償責任保険を核として、補償内容の拡充や示談交渉サービスの導入など、保険契約者の保護および被害者救済の社会的要請に応 えるための改定が行われていきました。
保験市場の規制緩和 ( 保険の自由化)
自動車保険の商品内容 について、以前は、どの保険会社も閉じ補償内容の商品を閉じ保険料で販売 しており、特約ラインアップも少なくシンプルな商品内容となっていて、どこの損害保険会社に加入しても、全て同じ保険料で同じ補償内容でした。
しかし 、1996年の保険自由化以降は、リスク細分型商品など、各社が独自の商品を開発するようになり、 補償内容 ・保険料 ともに保険会社ごとに異なるようになりました。
わかりやすい商品への見直し
いろいろな特約等が開発された結果、契約者の多様なニーズに応えられるよ うになった一方で、商品内容が複雑化した面もあり、2006年に発覚 した付随的な保険金の支払い漏れ問題も生じました。
多くの損害保険各社は、この反省をふまえ、補償内容の整理・統合によるシンプル化等、お客さま にわかりやすく、代理店 ・社員にとって説明しやすい商品への見直しを行いました。
最近の動向
ここ数年間は、保障の複雑さを徐々に解消する動きと共に、いわゆる「補償の重複」問題の浮上しています。
自動車保険の特約には、一つに特約で家族全員(自動車保険の家族とは、記名被保険者本人及び配偶者及びその同居の親族・別居の未婚の子)が補償されるもにがいくつかありますが、複数の自動車を保有している家庭では、その補償がダブってしまうことがあり、その見直しが急務となっています。
また、自動車自体の性能が急激にアップしており、自動運転機能や自動ブレーキ機能などが普及クラスの自動車及び軽自動車まで装備されるようになり、従来の自動車保険では対応できなってきました。
これには、事故発生時の賠償責任が誰(自動車メーカーか運転者か)にあるかという問題もあり、損害保険会社の対応が注目されます。