自賠責保険のカラクリ 代理店手数料が高すぎてビックリ

自賠責保険のカラクリ その他の損害保険

2021年4月1日から自賠責保険の保険料が全車種平均で約6.7%引き下げになり、2022年8月現在もこの保険料体系が適用されています。(2023年度には若干の保険料引き上げが検討されています)
同じタイミングで自賠責保険を販売している代理店の販売手数料が、1件あたり1,723円円から1,733円に値上げされたことは、一般にはあまり知られていません。

自賠責保険とは

自賠責保険はいわゆる「強制保険」であり、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付け られています。(自動車総合安全情報より

自賠責保険の代理店手数料とは

自賠責保険は、一般的に損害保険代理店に保険料を支払い自賠責保険証明書を発行してもらうことで加入することができますが、車検がある自動車やバイクなどは、車検を受ける時に車検期間に合わせて加入することになります。(車検の有効期間をすべて満たす必要があり、3年車検は36か月以上、2年車検は24か月以上、1年車検は12か月以上の加入が必要)

自賠責保険は損害保険代理店であれば、簡単な手続きをすれば誰でも発行することができますので、多くは自動車を販売している自動車ディーラーや中古車販売店、自動車整備工場が損害保険代理店業を兼業しています。

自賠責保険の取扱いは非常に簡単で、損害保険代理店が所有しているパソコンに、保険会社が無料で提供している代理店オンラインを繋いでいれば、1件あたり2~3分程度の作業で契約が完了してしまいます。
しかも損害保険代理店は、インターネット接続費用とパソコンの電気代、プリンターのトナー代だけの負担で済んでしまいます。(自賠責保険証明書の台紙は保険会社が無料で提供している)

自賠責保険の代理店手数料は、自賠責保険を1件契約するごとに支払われますので、2~3分の作業で1,733円の手数料が支払われてしまします。

自賠責保険の代理店手数料はどんどん高くなっている?

自賠責保険の代理店手数料は2014年3月31日(平成26年3月31日)までは長い間1件あたり1,600円でしたが、2014年4月1日以降からは以下のとおり値上げされています。

  • 2014年3月31日まで:1件あたり1,600円
  • 2014年4月1日から:1件あたり1,646円
  • 2017年4月1日から:1件あたり1,660円
  • 2019年10月1日から:1件あたり1,691円
  • 2020年4月1日から:1件あたり1,723円
  • 2021年4月1日から:1件あたり1,733円
  • 2023年4月1日から:1件あたり1,735円

自賠責保険の保険料が安くなっても代理店手数料は高くなる?

自賠責保険の代理店手数料は、自賠責保険の保険料に関係なく、「1件あたりいくら」と決まっていますので、自賠責保険の保険料の額とはまったく関係なく支払われます。

尚、自賠責保険の代理店手数料は、契約締結時点での物価水準や賃金水準に基づき、必要な代理店経費として「損害保険料算出機構」で決定されています。

1件27,770円と1件5,860円の自賠責保険でも同じ手数料?

自賠責保険の代理店手数料は1件あたり1,733円と決められていますので、以下の条件でも同じ手数料が払われます。

  • 自家用乗用自動車37か月契約:保険料27,770円の代理店手数料1,733円
  • 自家用乗用自動車1か月契約:保険料5,860円の代理店手数料1,733円

変な話ですが、自家用乗用自動車の1か月契約の場合、代理店は5,860円を契約者から領収して、1,733円を手数料として受け取り、差額の4,127円を保険会社に清算することになります。(なんと保険料の約3割が代理店手数料になります)

代理店大儲け? 自賠責保険の継ぎ足し契約とは?

自賠責保険は2021年4月の改定まで以下のとおり3回連続で保険料が安くなっています。

  • 2021年4月1日改訂(平均で6.7%引き下げ
  • 2020年4月1日改訂(平均で16.4%引き下げ
  • 2017年4月1日改定(平均で6.9%引き下げ
  • 2013年4月1日改定(平均で13.5%引き上げ)
  • 2011年4月1日改定(平均で11.7%引き上げ)

最も引き下げ幅の大きかった2020年4月改訂では、自家用乗用自動車の2か月保険料が大幅に安くなり、25,830円から21,550円になり4,280円の引き下げとなりました。

この時、たとえば2020年3月31日から24か月の自賠責保険に加入するより、2020年4月1日から24か月加入した方が4,280円安く加入することができます。

過去3回の値下げではは2020年4月改訂が最も値下げ幅が大きく、約16.4%なので、値下げ額はそれほど大きくななかったので「自賠責保険の継ぎ足し契約」はなかったのですが、過去の値下げ額が大きい改定では頻繁に行われました。

自賠責保険の継ぎ足し契約のカラクリ

車やバイクの車検を受けるためには、重量税などと共に自賠責保険に加入しなければなりませんが、自賠責保険の保険期間は車検期間を全て満たす必要があります。
逆に自賠責保険は車検期間を1件の自賠責保険でなくても2件通算で車検期間を満たしていればいいので、24か月の車検期間を1か月プラス23か月の2件で加入しても構いません。

例えば2020年の3月に車検を受ける場合、4月1日の値下げ前の自賠責保険に加入しなければなりませんが、3月に1か月の自賠責保険と、それに続く4月からの23か月の自賠責保険に加入しても、通算で2年間の車検期間を満たしていれば車検を受けることができます。

過去の値下げ幅の大きい保険料改定では、値下げ前の24か月契約の保険料より、値下げ前1か月分プラス値下げ後23か月分の保険料の方が安い場合がありますので、加入者は保険料を節約できることになります。

また、自賠責保険を販売する代理店も、契約が2件になりますので、2件分の手数料を受け取ることができる訳です。

自賠責保険には、このような業界の中でしかわからない変な仕組みがあるのです。

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