自動車保険の車両保険は、加入する車の価値（時価額）によって、加入できる補償額が決まっていますので、古い車はどうしても少ない補償でしか加入できません。
車両保険の保険金額の決め方
車両保険の補償額（保険金額）は、いくらでも自由に補償額を決められる訳ではなく、加入する車の時価額（市場の価値）で加入しますので、新車を３００万円で買った時は、３００万円の車両保険に加入できますが、毎年自動車保険を更新するたびに、車両保険の保険金額は下がってしまい、１０年もすれば３０万円位になってしまいます。
車両保険に３０万円しか加入していないと、次のような事故の場合、修理費が車両保険金額を上回ってしまいますので、車を修理できないか、足りない分を自己負担することになります。
ハンドル操作を誤って電柱に衝突
修理費５０万円
車両保険金額３０万円
全損費用１０％３万円
１７万円自己負担
洪水が発生して車が水没した
修理費４５万円
車両保険金額３０万円
全損費用１０％３万円
１2万円自己負担
＊いずれも車両保険の免責金額が「ゼロ」の場合の例です。
車の修理代は、車が古くても交換する部品は新品の場合が多いことと、修理するための工賃がかかりますので、ちょっとした事故でも高額になります。
古い車でも安心な「車両超過修理費特約」とは？
古い車でも長年愛用していて、どうしても修理して乗り続けたいってよくありますが、そんな方におすすめなのが、「車両超過修理費用特約」という特約です。
自動車保険の車両保険は、古い車の場合、十分な補償額（保険金額）で加入することができませんが、この「車両超過修理費用特約」を付けていると、事故の際の修理費が加入している車両保険の保険金額を超えてしまった場合も、ある程度保険金額に上乗せして支払ってくれます。
「車両超過修理費特約」の補償内容
「車両超過修理費特約」は古い車などで、加入している保険金額で事故の修理費がまかなえない場合に、３０万円まで上乗せして支払ってもらえる特約です。（事故の日から６か月以内に修理することが条件になります）
「車両超過修理費用特約」を扱っている損害保険会社は？
「車両超過修理費用特約」に加入できる損害保険会社は、代理店型の自動車保険では、三井住友海上の「ＧＫくるまの保険」とあいおいニッセイ同和の「タフくるまの保険」です。
東京海上日動の「トータルアシスト」は、「車両超過修理費用特約」はありませんが、車両保険金額が５０万円未満の場合で、事故で修理をするときは５０万円まで支払ってくれますので、非常に親切です。
また、損保ジャパン日本興亜の「ＴＨＥくるまの保険」では「車両全損修理時特約」があり、事故で車を修理する場合、加入している保険金額が５０万円上乗せされます。
共済系では、ＪＡ共済の「クルマスター」が「車両超過修理費用保障特約」を特約で追加することで、事故の修理費が車両保険金額を上回った場合に、５０万円まで上乗せして支払ってくれます。
ダイレクト型自動車保険では、唯一セゾン自動車火災の「おとなの自動車保険」で、グループ会社の損保ジャパン日本興亜「ＴＨＥくるまの保険」と同じ「車両全損修理時特約」が加入できますが、他のダイレクト型自動車保険では加入できません。
まとめ
事故の相手の車を修理するための「対物超過修理費特約」は今では一般的になっていて、ほとんどの自動車保険には標準装備されていたり、特約で加入できたりしますが、自分の車の修理のための「車両全損修理時特約」はあまり普及していません。
今は車の買い替えサイクルが長くなっている影響もあり、古い車を大事に乗り続けている人が増えていますので、事故が起きてもなんとか修理して乗り続けたい人には是非おすすめしたい特約です。
この「車両全損修理時特約」に加入するための追加保険料（特約保険料）は、加入する損害保険会社で異なりますが、年間で約５，０００円程度なので、検討する価値はありそうです。
