自動車保険の人身傷害で対象になる場合とならない場合とは?

ドライブレコーダー特約付き自動車保険比較 自動車保険の豆知識

「人身傷害保険」は、被保険者が自動車事故により死傷した場合に、加入している保険金額を限度に実際に生じた損害額が支払われる保険ですが、一般的に「対人賠償補償保険」などより、支払いになる要件が広く、補償の対象になる事故かどうかが解りにくい面があります。

「人身傷害保険」が支払われる要件とは

人身傷害保険の支払い対象になる要件は、契約している車が「運行中」の状態で、「搭乗中(乗車している)」かつ「急激・偶然・外来」な事故であることです。

一般的には契約している車に搭乗中だけでなく、他人の車に搭乗中や、歩行中までも補償されますが、加入方法によっては、契約している車に搭乗中のみに限定している場合があります。

人身傷害保険は「車の運行が原因の事故」の解釈が対人賠償補償保険などの賠償保険よりも広いのが特徴ですが、自動車保険である以上「車が運行中かどうか」が支払い対象になるか、ならないかの判断基準になります。

人身傷害保険の支払い対象になる例

車から降りる時ドアに手を挟まれた場合

車から降りて、ドアを閉めようとしたら、誤って手を挟み負傷した場合は、人身傷害保険の支払い対象になります。
車を運転して、その車を降りようとする行為は、車の運転の一連の過程の一部であり、車の「運行中」と解釈されます。
同じように車から降りる時、強風でドアが閉まり、手を挟まれた場合なども同様に支払い対象になります。

車を降りる時、足が滑って転倒した場合

冬季によく起きる事故ですが、車を止めて、その車を降りる時に路面が凍結していて、滑って転び負傷した場合は人身傷害保険の支払い対象になります。
これは「車を降りる」作業中の事故であり、車の「運行中」の一連の過程にあたるためです。

一般的に「運航中」とは、車に乗ろうとして、ドアノブに手をかけた時から、降りてドアノブから手を放すまでと解釈されますので、車を降りてドアを閉めて、ドアノブから手を離した後に転倒した場合は、対象にはなりません。

高速道路のパーキングで仮眠中に起きた事故

「車の運行中」かどうかの判断基準の一つは、通常の車の運行過程かどうかで判断するので、この場合は、車で出発して、目的地に到着するまでの一連の過程なので、「運行中」と判断され、車は駐車中で走ってはいませんが、支払い対象になります。

車を運転する前の点検中の事故

車を運転する前に、エンジンオイルやウインドウオッシャー液などの補充のために、ボンネットを開けていたところ、手を挟まれて負傷した場合などの事故は、「運行」の準備にあたり、運行と密接な関係があると判断され、人身傷害保険の支払い対象になります。

但し、微妙な判断ですが、修理中や点検中などの途中で起きた事故は、車の一連の運行過程に該当しないため、支払い対象にはなりません。

車を押しているときの事故

乗っていた車が踏切内で脱輪したために、ドライバーが車外に出て、後ろから押しているときや、発煙筒を焚こうとしたときに、電車が走ってきたが、逃げ切れずに接触して死亡した場合などは、人身傷害保険の支払い対象になります。

車が踏切を走行中に脱輪したことは「運行中」に該当し、脱輪した車を踏切から出そうと押している行為や発煙筒を焚く行為も「運行中」の一連の過程にあたります。

(参考:道路交通法 第33条)
車両等の運転者は、故障その他の理由により、踏切において当該車両を運転できまくなったときは、直ちに非常信号を行う等、踏切に故障その他の理由により停止している車両等があることを鉄道若しくは、軌道の係員又は警察官に知らせるための措置を講ずるとともに、当該車両を踏切以外の場所に移動するための措置講じなければならない。

奥さんが買い物途中にバイクのひったくりに遭い転倒した事故

車外まで補償される人身傷害保険に加入している場合で、奥さんが買い物途中に歩行中、後ろから走ってきたバイクにハンドバックをひったくられ、転倒して負傷した場合は、人身傷害保険の支払い対象になります。

これは、バイクに衝突されて転倒した場合と同じ解釈ができるため、バイクが「運行中」の事故になります。

但し、相手がバイクを降りて、奥さんのバックをひったくって、その後バイクに乗って逃走した場合は、バイクの「運行中」には該当しないため、支払い対象にはなりません。
*バイクを自動車と扱うかどうかは、損害保険会社によって異なります。

自転車で走っているとき、よそ見をして路上駐車している車に衝突した場合

この場合、相手の車が「運行中」かどうかが判断基準になりますが、「路上駐車」とは、車の運行の一連の過程にあたるため、車外まで補償される契約の場合、人身傷害保険の支払い対象になります。(車のエンジンがかかっていたかどうかなども判断規準になります)

路上での駐車中や停車中は人身傷害保険の対象になりますが、駐車場に止めてある車に衝突した場合は、相手の車が「運行中」に該当しないため、対象外になります。

人身傷害保険の支払い対象にならない例

運転中に病気が原因で起こした事故

例えば、車を運転中に脳内出血を起こして意識を失い、電柱に衝突して死傷した場合などは、人身傷害保険の対象にはなりません。

人身傷害保険の「約款」には、「疾病が原因の事故は対象外」と記載されており、被保険者の病気が原因で発生した事故は、支払い対象にはならないのです。

2014年前後に、損害保険会社各社は、自動車保険の「約款」見直しを行い、「疾病が原因の事故は対象外」と約款に付けくわえた結果、それ以降の疾病が原因の事故は支払い対象から外されました。

キャンピングカーでの宿泊中の事故

キャンピングカーは、通常の車としての装置と、宿泊や炊事のための装置と両方兼ね備えていますが、キャンピングカーで宿泊や炊事をしているときの事故は、車の「運行中」には該当しないため、人身傷害保険の支払い対象にはなりません。

これは、キャンピングカーだけではなく、座席がフルフラットになるような車で、車中泊をしている間の事故も同様です。
但し、もちろん車として走行している間に起きた事故が原因の負傷などは、支払いの対象になります。

荷物の積み下ろし中の事故

車から荷物を積み下ろしをしているときに、バランスを崩して転倒して、負傷した場合などは、人身傷害保険の支払い対象にはなりません。

車からの荷物の積み下ろし作業は、車の「運行中」とは無関係であり、人身傷害保険の対象外になります。

タイヤ交換のための作業中のケガ

タイヤ交換などの作業中に起きた事故による負傷は、人身傷害保険の支払い対象にはなりません。

タイヤの交換や修理・メンテナンスなどの行為は、車の「運行中」とは言えず、人身傷害保険の支払い対象にはなりませんが、その作業が終了して、車を運転して出かけた状態の場合は、「運行中」となり、支払い対象になります。

車に備わった装置を操作中の事故

例えば、クレーン装置やウインチ等を使って作業中の事故については、車の「運行中」には該当しないため、人身傷害保険の支払い対象にはなりません。

但し、変な話ですが、クレーンなどを作業中に駐車していた車の駐車場所が悪く、車自体が傾いた結果で事故が起きて負傷した場合などは、駐車することが「運行中」に該当しますので、人身傷害保険の支払い対象になります。

まとめ

人身傷害保険は、比較的新しい補償で、主に「家族」が死傷した場合に役立つ保険です。(同乗している他人への賠償は対人賠償保険が使えるため)

車に乗っている人の補償は、従来から存在していた「搭乗者傷害保険」が最高1,000万までの補償しか加入できないため、(実際は1,000万を超える加入が可能ですが、損害保険会社が引き受けていないのが現状)開発されました。

そして、その補償範囲が広いこともあり、実際に支払い対象になるケガなどを被っても、保険金を請求されない場合が多く存在します。

また、この保険のいいところは、人身傷害保険だけを請求しても、「ノーカウント事故」であり、「等級」に影響しないため。翌年保険料が高くなりません。

人身傷害保険は、各損害保険会社で取り扱い方(支払う範囲)が結構マチマチなので、それぞれ加入している自動車保険の補償内容をしっかり確認して、保険金を請求できそうなケガなどを被った場合は、必ず請求しましょう。

対人賠償保険FAQ

対物賠償保険FAQ

車両保険FAQ

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 自動車保険へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

【広告】自動車保険は比較することで安く加入できます。安くなった保険料は平均でなんと35,000円。

【広告】自然災害対策は火災保険一括見積で