「あおり運転」取り締まり強化 一発免許停止もある?

自動車保険トピックス

2017年6月5日に、東名高速の下り線で起きた「あおり運転」が原因の死亡事故をきっかけに、「あおり運転」を厳しく取り締まる気運が高まる中、2018年の1月、警察庁から各都道府県警に送付された「あおり運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」という通達を受けて、6月初旬に全国で「あおり運転」の一斉取り締まりが実施されました。

「あおり運転」の取り締まり強化とは

前の車に異常に接近して、道路を譲るよう威嚇する「あおり運転」を誰もが経験したことがあると思いますが、威嚇される方は、恐怖を感じて自らのペースで走行することができず、重大な事故につながる恐れがあり、「あおり運転」の取り締まりが強化されました。

妨害が目的の行為には厳しい取り締まり対象に

「あおり運転を未然に防止するために、特に妨害を目的とする行為には、その運転の態様に応じて、車間距離保持義務違反や進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反など、いろいろな道路交通法違反を適用した取り締まりが行われます。

【妨害を目的とする運転の態様と違反種別

運転の態様(例)違反の種別(道路交通法)
前方の自動車に激しく接近し,もっと速く走るように挑発する車間距離保持義務違反(法第26条)
危険防止を理由としない,不必要な急ブレーキをかける急ブレーキ禁止違反(法第24条)

後方の車両が急ハンドルや急ブレーキで避けるような進路変更

進路変更禁止違反(法第26条の2第2項)
左側から追い越す追越しの方法違反(法第28条)
夜間,他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する減光等義務違反(法第52条第2項)
執拗にクラクションを鳴らす警音器使用制限違反(法第54条第2項)
車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う安全運転義務違反(法第70条)
初心運転者等保護義務違反(法第71条第5号の4)

危険運転致死傷罪や暴行罪の適用もある?

「あおり運転」をして、死傷事故を起こした場合は、「危険運転致死傷罪」が適用されることもあります。

また、「あおり運転」をした結果、相手が死傷した場合は、「殴る」や「蹴る」などの暴行と同様の行為とみなされ、「暴行罪」適用されることもあります。

危険運転致死傷罪とは
2001年施行の刑法改正で新設された。致死罪であれば最高刑は懲役20年で、裁判員裁判の対象になる。業務上過失致死傷罪(最高刑懲役5年)や07年にできた自動車運転過失致死傷罪(同7年)が過失を問うのに対し、酒や薬物で正常な運転が難しい状態での走行や車の制御が困難な高速での走行、わざと信号無視をした場合など、故意に人を死傷させたとみなして適用される。
暴行罪とは
暴行を加えた者が、人を傷害するに至らない場合をいい、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる(刑法208条)

点数に関係なく一発免許停止になることも

「あおり運転」に暴行罪などが適用される場合や、「あおり運転」が原因で暴行や傷害、脅迫、器物損壊などが伴う場合は、違反の累積点数が免許停止処分の基準に達していなくても、「危険性帯有者」として、6か月を超えない範囲で免許停止処分を受けることがあります。

危険性帯有者とは
危険性帯有者とは、自動車等を運転ことで著しく道路における交通の危険を生じさせる可能性がある者のことで、例えば、覚せい剤などを所持しており、実際に使用していなくても、危険性帯有者として処分されます。

警察庁は「後方からの追い上げ」「急な割り込み」「蛇行運転」「幅寄せ」などが、相手ドライバーの不安を高めていると指摘。こうした危険な運転や交通トラブルから暴行や傷害、脅迫、器物損壊などに至った場合は点数制度によらず、危険性帯有者として処分するとしています。

ドライブレコーダ-で「あおり運転」を一発免停にできる?

自動車の「あおり運転」が社会問題となるなか、走行中の様子を録画する「ドライブレコーダー(DR)」に注目が集まっています。

もともとはタクシーやトラックなどで搭載が始まりましたが、事故や交通トラブルが起きた際の証拠になるため、自家用車に取り付けるドライバーが急増しています。

レコーダーの画像が鮮明になり、5,000円以下など値段が安くなったこともあり、交通トラブルに遭わないよう「お守り」代わりに付ける人が増えています。

特に後方が撮影されるタイプのドライブレコーダーであれば、「あおり運転」をしてきた相手の画像を証拠として通報すれば、一発免停に追い込むことも可能です。

参考記事:ドライブレコーダー付き自動車保険4社の徹底比較

まとめ

誰もが被害の経験がある「あおり運転」ですが、今では厳しい取り締まり対象になっていますので、絶対行わないようにしたいものです。

2018年6月1日から7日までの間「あおり運転全国一斉取り締まり」が行われた結果、なんと7日間での総検挙数は1296件にもなりました。

 検挙数の内訳は「車間距離保持義務違反」が1088件、「追い越し方法違反」が110件、「進路変更禁止違反」が56件。これらを総称して「あおり運転」としていますが、「車間距離保持義務違反」が84%でほとんどだったとのことです。

「車間距離保持義務違反」で検挙された人の中には、単なる車間距離不足だった人も含まれているとの批判もありますが、警察も本気で取り締まりをしていますので、「あおり運転」とみなされないような運転を心がけましょう。

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