テレマティクス技術が自動車保険を変える?

テレマティクス自動車保険 自動車保険とテレマティクス技術

テレマティクスとは

「テレマティクス」という単語を聞いたことがある人も居ると思いますが、スマホなどの通信機器が一般的になったことで可能になった、双方向の通信システムを利用してのサービスを意味します。

テレマティスクとはテレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)から作られた造語

国土交通省は、平成25年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」を踏まえ、「テレマティクスを活用した自動車保険」の普及による、安全運転の促進や交通事故の削減に取り組むために、「自動車関連情報の活用に関する将来ビジョン検討会」を設置し、積極的に取り組んでいく方針です。

海外では既にテレマティクスを活用した様々なサービスが提供されており、自動車保険分野では、車に搭載されたセンサーから得られた運転のデータから、「安全運転による割引を適用した自動車保険」が普及し始めていて、2020年には約100兆円の規模までに成長すると予想さてれいます。

海外自動車メーカーのテレマティクスサービス

海外の大手自動車メーカーも。車に搭載した機械から得られる「運転データ」によるサービスの提供を始めています。

メルセデスベンツ

アメリカの子会社「メルセデスベンツUSA」が開発したテレマティクスサービスで、駐車場などの衝突自動通知や緊急コールサービス、位置情報などの通知サービスを行っていて、2016年のメルセデスベンツUSA社制の車から順次機能が搭載されています。

BMW

BMWは「BMW Connnected Drive」を開発して、2013年には日本車にも搭載されています。
「BMW Connnected Drive」は車に搭載された通信システムにより、「もしもの時に備える安全性」「カーライフを進化させる革新の利便性」「充実の情報と最新のエンターテイメント」を提供するものです。

2015年からは、「BMWコネクテッド・ドライブ・ストア」では、顧客専用のポータルサイトを導入し、車に搭載されたディスプレイから、様々なサービスを購入できます。

アウディ

アウディは「Audi Connect」を開発して、ナビの画面に天気やニュース、渋滞情報などのリアルタイム情報を提供することと、車自体が「Wifiスポット」になります。
また、欧州仕様車などは、国境越えで変わる制限速度に対応して、速度オーバーなどの時にアラームで知らせるシステムなどを導入しています。

GM

GMは子会社である「OnStar」が提供するシステムで、緊急時サービス、車両盗難時の追跡サービス、車の遠隔操作などのサービスを提供しています。

日本の自動車メーカーのテレマティクスサービス

日本の自動車メーカーも各社オリジナルなテレマティクスサービスを展開していますが、

トヨタ

トヨタ自動車は「T-Connect」でテレマティクスサービスを提供しており、「ヘルプネット」による事故や急病などの時の緊急通報システムや、音声で目的地への誘導が開始される「エージェント」、「TransLog」と呼ばれる安全運転診断やエコドライブ・燃費管理に加え、事故時の緊急通報サービスなどが提供されます。

日産

日産自動車のテレマティクスサービスは、「カーウイングス」と呼ばれるシステムで、音声によるナビ誘導指示や、「情報チャンネル」と呼ばれるインターネット接続サービス、メール送受信機能やグーグルとの連携機能などがあります。

ホンダ

「インターナビ」の名前でテレマティクスサービスを提供しています。
主な機能は、専用のスマホアプリで、渋滞情報や駐車場空き情報などの提供や、観光情報や燃費情報なども提供される他、雨や雪などの気象情報、台風などの災害情報、地震の時の安否確認サービスなどが提供されます。

スバル

「G-Book」と呼ばれるテレマティクスサービスを提供しており、トヨタと同じでヘルプボタンを押すと、自動的に警察や消防に通報してくれるサービスや、「ドライビングインテリジェンス」で地図データの自動更新や従来のナビゲーションの機能よりも精度の高い渋滞情報を提供してくれます。

テレマティクス自動車保険

テレマティクスを活用した自動車保険とは、車に搭載されたセンサーから、「走行距離」や「運転速度、アクセルやブレーキ操作の傾向」などから安全性のデータを収集し、その傾向から安全性を診断したり、アドバイスをするサービスや、自動車保険の保険料を割り引くものです。

これにより、ドライバーはより安全運転を意識した走行を心掛けるようになり、交通事故の減少につながることも期待されています。

国内の損害保険会社もテレマティクスを活用したサービスを提供しています。

東京海上日動のテレマティクス自動車保険

東京海上日動火災は2016年11月25日に「ドライブエージェント・パーソナル」の提供を発表しました。

これは、従来法人向けに行っていたサービスを個人の契約者まで広げたもので、専用のドライブレコーダーを使い、記録された映像を使っての事故時の交渉や、事故の衝撃を感知し、スマートホンと連動することにより、自動的に事故受付から事故時の画像送信などの機能が提供されます。

その他、契約者の運転情報をもとにした、「安全運転診断サービス」や、天候などの運転時の外部環境・運転状況に反応した注意メッセージなどの「事故防止支援サービス」なども提供されるもので、特約として加入できます。(毎月の特約保険料は650円)

損保ジャパン日本興亜のテレマティクス自動車保険

2016年1月から提供しているスマートホンアプリ「ポータブルスマイリングロード」をバージョンアップして、従来のカーナビ機能に加え、安全運転診断や事故時の緊急連絡先などが表示されるサービスが提供されます。

ポータブルスマイリングロードアプリで記録されたデータをもとに、自動車保険の保険料を最大20%割り引く制度も導入されましたが、あくまで自動車保険の新規加入者が対象であり、現在既に自動車保険に加入している人には、関係なさそうです。

東京海上日動や三井住友海上、あいおいニッセイ同和の3社は、1日だけ加入できる自動車保険を発売していて、何回か利用して無事故だった人には、車を買って新規で自動車保険に加入した場合、最初から割引を受けられる制度を導入していますが、損保ジャパン日本興亜は1日自動車保険を発売していないための対抗処置と思われます。

あいおいニッセイ同和のテレマティクス自動車保険

あいおいニッセイ同和は2015年3月にイギリスのテレマティクス自動車保険大手のBIG社を買収しており、そのノウハウを生かし、テレマティクス自動車保険を開発して、現在発売準備をしている状況です。

このテレマティクス自動車保険は、欧米のようなフリーな保険料設定ではなく、あくまで日本の料率制度を補完する意味合いの自動車保険で、従来通りの等級や免許証の色、使用目的などの他に、契約者の走行データ(走行距離やブレーキ操作やハンドル操作など)をもとに安全度をランク付けして、「運転挙動割引」の形で保険料に反映させる仕組みです。

あいおいニッセイ同和のテレマティクス自動車保険では、走行距離や「運転挙動割引」で保険料を割り引くサービス以外に、契約者の「運転挙動」を分析して、安全運転診断やアドバイスを提供することで、交通事故を減らす効果が期待できます。

セゾン自動車火災のテレマティクス自動車保険

2016年11月に発表された「おとなの自動車保険」に付帯できるサービスで、契約時に契約者が希望した場合、契約後に「つながるボタン」が送られてきて、それを車に設置すれば、ドライバーが乗車した時に、スマホの専用アプリが起動して「運転挙動」や「エコドライブ診断」、「運転スコア」などのデータが収集され、ドライブレポートが提供されます。

また、事故時に「つながるボタン」を押せば、車の位置や契約情報がアプリ経由でゼゾン自動車火災にデータが連携され、必要なサポートを受けることができます。

「つながるボタン」は事故の衝撃や経過時間なども感知して、契約者の携帯電話に連絡して、得意の「アルソック事故現場サービス」などのサービスを実施します。

このシステムは保険料の割引に使用されるのではなく、あくまで、事故時の対応や、安全運転診断などの目的で使用されるサービスです。

ソニー損保のテレマティクス自動車保険

2015年2月に発売された、「やさしい運転キャッシュバック特約」に加入することで、車に設置する「ドライブカウンタ」が送られてきて、それにより、契約者の「急発進・急ブレーキ」の発生状況や「スムーズな発信・停止」などを記録して、そのスコアにより、保険料を最大20%保険料をキャッシュバックするシステムです。

このシステムには、通信機能がなく、ドライブカウンタ自体を提出することで、データを所得しますので、厳密な意味では、テレマティクスサービスではありません。

アクサダイレクトのテレマティクス自動車保険

2015年10月にスマートドライブ社の「車載デバイス」とアクサダイレクトのアプリ「You Drive]が提携してできたサービスで、契約者に車載デバイスと専用アプリを提供して、ドライバーの安全運転特性を計測することで、運転特性やアドバイスなどを提供するサービスです。

発売前のモニター募集は終了していますが、実際に発売される時期は未定です。(20174年6月現在)

チューリッヒのテレマティクス自動車保険

2016年1月から、チューリッヒの「スーパー自動車保険」に加入する契約者の中で、初めて自動車保険に加入する人を対象に、自動通報装置付きドライブレコーダー「Z-Assist」を貸し出し、テレマティクスサービスの提供を開始しました。

この装置は「Z-Assist」を搭載した車が、事故などで強い衝撃を受けると、自動的にチューリッヒに通知され、GPSで位置情報なども同時に送られます。

この通知を受けて、契約者の携帯電話などに連絡をして、事故の不安を払拭するなどのサービスです。

まとめ

テレマティクス技術の進化による自動車保険への影響は、これから増すばかりと思われますが、欧米とは異なり、日本には、損害保険会社が加入している損害保険料率算出機構が示す「参考純率」があり、損害保険会社はそれを参考に保険料を決定しています。

欧米では、そのような制度がなく、損害保険会社は自由に保険料を決定できますので、契約者の運転傾向で保険料が決まるテレマティクス自動車保険は普及しやすい環境にありますが、日本では、損害保険料率算出機構が示す参考純率を参考にしながら、テレマティクス装置で得た「運転挙動」による割引を採用する形が主流になると思います。

現在損害保険会社はテレマティクスと自動車保険を結びつけるために、独自のドライブレコーダーなどの装置を、スマートホンのアプリと両方提供することで、運転データを収集していますが、今後は自動車メーカーがすすめているテレマティクスサービスと連携することで、アプリのみの提供でテレマティクス自動車保険のサービスが行えるようになります。

ドライバーの「運転挙動」からその安全運転度をランク付けして、自動車保険の保険料に反映させることは、保険料負担の公平性の確保につながることや、安全運転意識の向上で事故の減少に役立つことから、テレマティクス自動車保険の普及は歓迎すべきことだと思います。

 

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