自動車保険のテレマティクス技術で交通事故が減るって本当?

自動車保険とテレマティクス技術

自動車保険は、ある意味どこの保険会社に加入しても、保険料の差以外はほとんど同じ補償内容になっていて、これからは加入者に提供できるサービスが、自動車保険選びの基準になっていきます。

最近では、高齢者の交通事故の増大を踏まえて、テレマティクス技術を活用した自動車保険加入者向けの交通事故予防のためのサービスが提供されてきました。

テレマティクス技術を活用した交通事故防止サービスとは?

テレマティクス(telematics)とは、車にネット接続が可能な端末を搭載して、交通情報や天気、ニュースといったさまざまな情報を利用できるようにする情報サービスで、自動車メーカーでは、トヨタやホンダ、日産自動車では独自のサービスを既に開始しています。

比較的新しい車には、車そのものに通信機能があり、テレマティクスによるサービスを受けることができますが、通信機能を持たない車の場合、通信機器を後付けで設置したり、スマホの通信機能を使って、テレマティクスによるサービスを受けることができるようになってきました。

大手代理店型の損害保険会社では、安全運転診断や、危険運転アラーム機能、ドライブレコーダー機能を持ったスマホ向けアプリを無料で提供していますが、ドライバーが運転前にスマホを車に固定するなどの手間がかかり、完全なテレマティクス技術による安全運転軽減サービスとは言えません。

東京海上日動の「ドライブエージェント パーソナル」がすごい

東京海上日動社は、平成29年4月1日から、「ドライブエージェント パーソナル」を発売しました。
このサービスは、従来従業員の安全運転対策として法人向けに提供されていたもので、個人契約者向けにアレンジしたもので、パイオニア社と共同開発した通信機能付きドライブレコーダーを活用して、交通事故軽減のためにサービスを提供します。

ドライブエージェント パーソナル
東京海上日動提供ドライブレコーダー仕様
サイズ直径 約72mm 厚さ 約40mm
センサー加速度センサー
位置測位GPS/グロナス
カメラフルHD(1920×1080)
画面2インチディスプレイ
通信機能LTE通信

「ドライブエージェント パーソナル」の3つのサービス

東京海上日動社の自動車保険「トータルアシスト」や「トータルアシスト超保険」の特約で「事故発生の通知等に関する特約」に加入しますと、独自に開発したドライブレコーダーが提供され、「ドライブエージェント パーソナル」のサービスを受けることができます。

高度な事故対応サービス

車が走行中に事故などの強い衝撃を受けると、東京海上日動が提携している企業に自動的に通報され、ドライブレコーダーを通じてオペレーターと会話ができ、事故発生直後に不安を解消してくれます。
また、事故前後の画像がドライブレコーダーに記録され、その画像が東京海上日動の事故処理部門に送信されて、事故の解決に役立てることができますので、たとえ事故の相手が事故状況について、事実と異なる主張をしても安心です。

安全運転診断サービス

東京海上日動が保有する膨大なデータに基づき、契約者が運転した時に、急ブレーキや急アクセル、急ハンドルなどを感知して、「安全運転診断レポート」を作成・提供してくれます。

自分の運転した結果が、レポートとして提供されますので、交通事故に結びつく運転のクセや特徴がわかり、結果的に安全運転を意識するようになった結果、交通事故の防止に繋がります。

事故防止支援サービス

ドライブレコーダーを共同開発した、パイオニア社が所有する地図データ「事故リスク予測プラットフォーム」を活用して、運転中の天候や運転時間帯、車の走行速度などをもとに危険地点を予測して、音声メッセージなどで、リアルタイムに注意喚起をしてくれます。

また、片寄り運転や車線逸脱を起こしたり、急ブレーキや急ハンドルなどを感知した時に、音声による注意喚起が行われ、事故の未然防止に役立ちます。

この東京海上日動が提供するドライブレコーダーは、ドコモのLTE回線に常時接続されていますので、内蔵するアプリのバージョンアップが自動的に行われるため、今後順次提供される新サービスに対応できることから、契約者にとって有意義なサービスを受けることができます。

このサービスを受けるための特約保険料は、月払いで自動車保険に加入している場合は、毎月650円です。

MS&ADグループの「見守る自動車保険」

損害保険会社最大手のMS&ADインシュアランスグループ(三井住友海上、あいおいニッセイ同和)は平成29年6月27日に、高齢者などの交通事故増加に対応するサービスとして、「見守る」新自動車保険を発売すると発表しました。

MS&ADグループは、グループ内の損害保険会社などが研究開発してきたテレマティクス技術を活用して、スマートホンと車に設置する専用機器を連動させ、ドライバーの運転状況を収集することで、安全運転のサポートや高齢者の見守りなどのサービスを提供するものです。

三井住友海上は「GK見守るクルマの保険」、あいおいニッセイ同和は「タフ見守るクルマの保険」として平成29年度中に発売するとのことです。

安全運転をサポートするサービス

安全運転をサポートするサービスは、「危険運転等注意喚起サービス」「事故時の対応をサポートするサービス」「家族が安全運転を見守れるサービス」の3種類です。

危険運転等注意喚起サービス

急発進や急ブレーキなどの危険行為や事故多発地点を通過する場合に警告するアラームや、高齢者が起こしやすい高速道路などの逆走の発生を感知した時に注意喚起するサービスです。
また、高齢者があらかじめ決めておいた範囲(半径20㎞)を超えて走行した場合に、注意喚起されるサービスなどが提供されます。

運転診断レポート

車の運転中の急加速や急ブレーキの発生回数などを点数化して、安全運転診断のレポートを提供するサービスです。

事故時の対応をサポートするサービス

車に設置した専用機器が大きな衝撃を感知すると、自動的に事故のコールセンターに通知され、オペレーターがドライバーのスマートホンに「安否確認コール」を行い、交通事故の場合の初期対応をアドバイスしたり、レッカー車の手配などを行ってくれるサービスです。

家族が安全運転を見守れるサービス

あらかじめ指定している家族などに、「高速道路逆走」や「指定区域外走行」の発生を通知するサービスで、発生時刻や発生場所などの情報を連携してくれます。また、定期的に提供される「安全診断レポート」を自動的に家族などのスマホやパソコンに連携するサービスも併せて行います。

MS&ADグループが提供するテレマティクス技術を使ってのサービスは、まだはっきりしませんが、専用の機器が必要であり、無料ではなく、毎月数百円程度の特約保険料で提供されそうです。

ただし、このサービスは、東京海上日動のドライブレコーダーとは異なり、データの通信は、ドライバーのスマートホンが使われるため、スマホを持っていない人は対象にはならないことと、専用機器とスマートホンとの接続には、スマートホンのBluetoothが使われると思いますので、Bluetoothをわざわざオンにする必要があるため、高齢者が使いこなせるかが疑問です。

損保ジャパン日本興亜の安全運転支援アプリ

損保ジャパン日本興亜は、特別に専用機器などを使ってのサービスは提供されていませんが、ドライブレコーダー付きの無料アプリ「セーフティサイト」が優秀であり、十分安全運転のサポート機能が備わっています。

その機能はドライブレコーダー機能や安全運転診断サービスの他に、前方車発信アラートや前方車接近アラートなどが提供されます。

特別な専用機器などは必要なく、スマートホンにアプリをダウンロードすれば、損保ジャパン日本興亜の自動車保険に加入していなくても、誰でも利用できます。

まとめ

損害保険会社各社は、急速にテレマティクス技術を使っての安全運転サポートサービスを提供するようになってきましたが、まだまだテレマティクス技術自体が開発途中であり、これから更に充実したサービスへとバージョンアップが期待されます。

特に高齢者の事故増加は社会問題化しており、早急な対応が必要になっている中で、自動ブレーキなどの事故未然防止機能が、新しい車にしか装備されていない状態では、新車を購入できずに古い車に乗っている高齢者への対策が必要です。

高齢者は自動車保険の加入歴が長く、保険料の割引もすすんでいる場合が多いことから、毎月数百円の保険料負担で提供してもらえる安全運転サポートや、事故時の自動通報システムは是非利用して欲しいサービスだと思います。

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