2022年5月13日から施行される改正道路交通法では、高齢ドライバーに対しての対策の充実・強化が行われますが、新たに安全運転サポートカー(サポカー)限定免許という新しい免許制度が導入されます。
高齢者の交通事故が社会問題化しているなか、自ら免許証を返納する高齢者は増加していますが、地方などに居住する高齢者にとっては、生活を維持するのに必要不可欠な運転免許を返納することをためらうことも事実です。
警察庁は「免許返納に踏み切れない高齢ドライバーの選択肢の一つとして限定免許を利用してもらいたい」としています。
サポカー限定免許制度の概要
サポカー限定免許への切り替えを希望する場合、年齢に関係なく自らの申請により、運転することができる自動車の範囲をサポートカーに限定する条件を付与することができます。
サポートカー限定条件の申請は、運転免許証の更新申請と併せて行うことが可能です。
但し、サポカー限定条件を付与できる免許は、普通免許だけが対象になりますので、大型免許や
中型(8トン限定)免許、第二種免許等、普通免許の上位免許を持っている人は、申請による免許 の一部取消し、普通免許を取得した上で、条件を付与すること ができます。
※ サポカー限定免許でサポカー以外の普通自動車を運転した場合は、免許条件違反となります。
※ サポートカー限定条件の解除を希望する場合は、公安委員会の審査(指定自動車教習所において限定解除のための教習を受けた場合は、運転技能の審査が免除されます。)を受ける必要があります。
サポカー限定免許で運転できる車は?
サポカー限定免許で運転できる車は、次の安全運転支援装置が搭載された普通自動車(サポートカー)のみ、運転することができます。(なお、後付けの装置については対象となりません)
①自動ブレーキと、アクセル・ブレーキのペダル踏み間違いによる急発進を防ぐ装置を備え、国土交通省から性能認定を受けた車
②2021年11月以降、新型車から段階的に義務づけられる自動ブレーキに関する保安基準を適用した車
対象の車は4月21日現在、国内メーカー8社の126車種、344型式ですが、性能認定を受けた車は2021年11月以降に製造された車に限られるため、限定免許で運転できるのは普及している車の一部に限られるものと思われます。
サポカー限定免許で運転できる車種は警察庁のホームページで確認できます。
サポカー限定免許の問題点
今回導入される「サポカー限定免許」は、免許返納を躊躇する高齢者などが、生活のために安全に車を運転できるように導入された制度です。
しかし、この「サポカー限定免許」で運転できる車は、普及している車の一部しか対象になりません。運転
運転に不安を持つ高齢者が「サポカー限定免許」に切り替えたとしても、運転対象になるサポカーを購入する場合、新車か高年式の高額な中古車を選ばなければならず、年金生活者である高齢者が手に入れることは相当難しいと思われます。
このことから「サポカー限定免許」が高齢者に広く普及するにはまだまだ先のことになるでしょう。