2019年4月19日池袋で起きた高齢者による死亡事故 被害者への賠償と対策は?

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2019年(平成31年)4月19日12時25分ごろ、東京都豊島区東池袋四丁目の交差点で自動車が暴走して多重衝突事故を起こしました。乗用車は赤信号を無視して交差点内の横断歩道に突っ込むなどして、母子2人[女性A(当時31歳)とAの長女B(当時3歳)]が死亡し、乗用車を運転していた男性(以下「加害者」)を含む10人(加害者を除くと9人)が負傷した悲惨な事故が発生しました

事故を起こした車に自動車保険が掛けられていることで、被害者には賠償金が支払われるのですが、具体的な賠償金額と、多発する高齢者による交通事故の対策について考えてみます。

2019年4月19日、東京都豊島区東池袋四丁目の交差点で起きた高齢者による悲惨な死亡事故とは

2019年4月19日12時25分ごろ高齢の男性(当時87歳・無職)は、車を運転して東京都池袋四丁目の交差点で、自転車で青信号の横断歩道を渡っていた女性A(当時31)とAの長女B(同3)をはねて死亡させ、通行人ら9人を負傷させた。
この高齢男性は事故後の事情聴取で「パニック状態となり、アクセルとブレーキを踏み間違えたかもしれない」などと運転操作を誤った可能性を認めていたが、2020年10月8日の刑事裁判初公判(過失運転致死傷事件)では一転して起訴内容を否認。男性は「アクセルペダルを踏み続けたことはないと記憶している。車に何らかの異常が生じ、暴走した疑いがある」として無罪を主張した。
その後2021年1月19日に開かれた第4回公判では検察側証人として、事故解析を担当した捜査員(警視庁の交通事故解析研究員)が出廷し、「被告人の車は事故現場手前から、事故現場へ向かうにつれて次第に加速していった」と証言した。
第5回公判(同年2月1日)では事故の鑑定書を書いた捜査員(警視庁交通捜査課)が証人尋問で「事故車両のデータ記録にはアクセル・ブレーキの電気系統の故障記録は確認できなかった。また、事故で破損した箇所を復元するなどして走行させたところ、ブレーキは利いた。仮に電気系統に異常があったとしても、ブレーキペダルを踏めば減速できたはずだ」「事故車両は事故当時、現場直前で最もアクセルを強く踏み込んでいた」と証言した。

2021年9月2日東京地方裁判所の下津健司裁判長は、「遺族の悲しみは非常に深く、喪失感はいまだに全く埋められていない」として、加害者である高齢男性に対し禁錮5年の実刑を言い渡しました。
また、死亡した母娘2人の遺族数名は、刑事裁判の初公判が開かれた2020年10月8日付で、本事故(過失運転致死傷事件)の被告人である加害者の高齢男性と、男が加入していた自動車損害保険会社を相手取り、約1億7,000万円の損害賠償を求める民事訴訟を提起しています。

被害者への賠償はどうなる?

自動車による人身事故については、自動車損害賠償保障法により「運行供用者責任」が定められているため、加害者が運転していた車が自動車保険に加入していれば、刑事裁判で無罪になったとしても、「対人賠償保険」が「自賠責保険」と合わせて支払い対象になります。

民事訴訟で請求されている1億7,000万の損害賠償額が妥当かどうかは今後の裁判で確定していきますが、妥当な賠償額であれば全額認められる可能性があります。

交通事故で死亡した遺族に支払われる賠償金はどのくらい?

自動車保険の死亡保険金は、保険会社の査定で支払われるよりも、被害者が弁護士に依頼して交渉をすることで、その賠償額は多くなりますので、弁護士基準で試算してみました。

葬儀費用

死亡事故の場合は、葬儀費用の発生が伴いますので、この費用も賠償金として請求対象になりますが、150万円を上限に支払われます。(150万円を下回る場合は実費が支払い対象になります)

死亡逸失利益

逸失利益とは、生存していれば将来発生するであろう利益(賃金等)のことで、弁護士基準では「ライプニッツ係数」を使って算出されます。

死亡逸失利益は、基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数(事故時から67歳までの年数と平均余命年数の2分の1のいずれか長いほう)に対応したライプニッツ係数の式により算定されます。

専業主婦の場合、家事労働にも金銭的な価値があると認められるため、賃金センサスの女性全年齢の平均賃金を参考にして算出します。

また被害者が幼児・生徒・学生であっても、事故がなければ将来働いて収入を得ていたはずであるとみなされるため、逸失利益を請求できます。

ライプニッツ係数とは
逸失利益は、利益が得られたであろう本来の時期以前にその全額が支払われるため、その後その時期までに利息が付くこととなります。その結果、その期間の利息を控除しないと、被害者はその間の利息分の利益を別途得ることとなってしまいます。
この将来利息による増額分を逸失利益から控除する必要があり、その将来利息分を控除することを中間利息控除といいます。
そして、ライプニッツ係数とは、この中間利息を控除するために使う数値です。

死亡慰謝料

交通死亡事故の場合、死亡した被害者が一家の支柱の場合は2700万円~3100万円、一家の支柱に準ずる場合は2400万円~2700万円、その他の場合は2000万円~2500万円の範囲内で決定するとされています。

その他費用

死亡事故の賠償金には、上記葬儀費や死亡逸失利益、慰謝料の他に以下の費用も賠償金に含まれます。

  • 死亡に至るまでの傷害による損害(今回の事故の場合は、1月9日の事故から1月31日に死亡するまでの治療等に要した費用)
  • 死体処置費用
  • 文書料(死体検案書等の費用)
  • 近親者が治療中の付き添いや、死亡後の通夜、葬儀、等に参列するための交通費や宿泊費など

過失割合

今回の池袋で発生したの死亡事故については、加害者は赤信号無視で交差点に進入しており、母娘に過失割合が発生する可能性は考えられず、、加害者である高齢男性が100%の過失割合となります。

高齢者運転者の事故防止のための制度はどうなているのか

事故を起こした高齢男性は、事故の1年ほど前から足が不自由なため、つえを使って歩いていたとか、車庫入れがうまくできない様子を住民が見たこともあったという話がありますが、このような状態で運転免許を更新などができるのでしょうか。

運転免許更新時の高齢者講習と認知機能検査とは

70歳を超えて免許証の更新をする場合は、高齢者講習の受講が義務付けられ、更に75歳を超えると、認知機能検査が行われます。

また、75歳以上の運転者が、信号無視や一時不停止などの一定の違反をした場合も認知機能検査が義務付けられ、通知書を受け取ってから、1ヶ月以内に検査を受けなかった場合、免許の停止や取り消しの対象となります。

認知機能検査の検査内容

検査内容は「時間の見当識(けんとうしき)」「手がかり再生」「時計描画」の3つです。

講習予備検査のイメージ画

     北海道警察のHPから引用

1.時間の見当識

「今年は何年ですか?」「今年は何月ですか?」など、検査を受けたときの年、月、曜日、時間を聞かれて答える検査です。

2.手がかり再生

計16枚のイラストを見せられ、検査員の説明を受けながら記憶をします。 記憶したイラストを、最初はヒントなしで行い、その後ヒントありの状態で思い出し、回答をします。

3.時計描画

検査員が時刻を言い、時計の文字盤に指定された時刻を表す針を描きます。

認知機能検査の結果

検査結果は、即日、検査終了後に書面で判明します。

認知機能検査の検査内容

 

認知機能検査の結果は、「第1分類:記憶力・判断力が低くなっている方」「第2分類:記憶力・判断力が少し低くなっている方」「第3分類:記憶力・判断力に心配のない方」の3つに分類されます。

・第1分類(記憶力・判断力が低くなっている方)

臨時適正検査(都道府県公安委員会が指定する専門医またはかかりつけ医への受診)を行うか、医師の診断書の提出が必要になります。認知症と判断された場合は、免許停止または免許の取り消しに、認知症と判断されなかった場合は、「高度化講習(3時間講習)」を受けることになります。

・第2分類の方(記憶力・判断力が少し低くなっている方)

高齢者講習(3時間講習)を受けます。

・第3分類の方(記憶力・判断力に心配のない方)

高齢者講習(2時間講習)を受けます。

参考:75歳以上の免許更新(警視庁)

認知機能検査の効果は期待できない?

高齢者の運転免許証の有効期限は、70歳になると4年になり、71歳からは3年になりますが、免許更新後に認知機能検査対象の交通違反がなければ、3年間は認知機能検査を受けることなく、運転を続けることになります。

また、認知症の症状が起きたり起きなかったりする人が、たまたま免許証の更新時の認知機能検査に合格してしまう可能性もあります。

2018年1月9日に前橋市で発生した高齢者による悲惨な死亡事故も、認知機能検査に合格したあとに事故を繰り返し、家族が運転を止めていたにもかかわらず、家族の目を盗んで運転をした結果、起きてしまった事故なので、認知機能検査の交通事故防止効果は期待できず、もはや本人の良心に頼るしか解決策はないことになります。

自動車の安全技術で高齢者の運転操作ミスによる事故は防止できるのか

高齢者の認知機能低下による事故のパターンは以下の5パターンに分類されます。

  1. 不注意・居眠りを原因とした急ブレーキによる追突事故
  2. ハンドルの操作ミスによる隣の車線の車との接触事故
  3. アクセルとブレーキの踏み間違いが原因の急発進による衝突事故
  4. ハイビームへの切り替え忘れが原因の視界不良による接触事故
  5. 前の車の急停車に気づかずブレーキ操作の遅れによる追突事故

このような高齢者が起こす運転操作ミスを、自動車の安全装置が未然に防いでくれることはできないのでしょうか?

安全運転を支援するシステムを搭載した自動車「先進安全自動車(ASV)」が高齢者の事故を防止するシステムが既に実用化されています。

実用化されている安全技術

  • 衝突被害軽減ブレーキ(前方の障害物との衝突を予測して、衝突被害を軽減するために自動制御する装置)
  • レーンキープアシスト(車内に設置されたカメラ画像をもとに車線を認識し、方向指示器を操作されないまま車線を逸脱しそうになると警報音を鳴らし,ディスプレイに表示するなどしてドライバーに知らせる機能です)
  • ACC(クルマに搭載した専用のセンサーとコンピューターを用いたシステムが、アクセル操作とブレーキ操作の両方を自動的に行ない、運転を支援する機能です)
  • ふらつき警報(ドライバーのふらつき運転を警報する装置で、車線からはずれると警報が鳴ります)
  • ESC(車両の横滑りの状況応じて、制動力や駆動力を制御する装置)
  • 駐車支援システム(バックで駐車する時に、ハンドルを自動制御して駐車を補助する装置)
  • ペダル踏み間違い時加速抑制装置(万が一アクセルペダルを誤って踏み間違った場合に、急加速による衝突を回避するシステム)
  • 自動切換え型前照灯(先行車や対向車を感知するとハイビームとロービームを自動的に切り替えてくれるシステム) 

現在国産車で採用されている先進安全自動車(ASV)

  • トヨタ:Toyota Safety Sense
  • ホンダ:Honda SENSING
  • 日産:インテリジェント エマージェンシー ブレーキ
  • 三菱:e-Assist
  • スズキ:デュアルカメラブレーキサポート
  • ダイハツ:スマートアシスト

これらの先進安全自動車はまだ技術の発展段階であり、安全技術の全てを網羅している訳ではありませんので、完全に高齢者の事故防止につながるとは限りませんが、今後の技術開発で高齢者事故の防止に貢献することは間違いないと思われます。

自動車保険の高齢者見守りサービスとは

2019年年1月1日に三井住友海上火災保険から発売された「GK見守るクルマの保険(ドラレコ型」は、高齢者が自動車保険に加入すると、専用ドライブレコーダーが提供され、内蔵されている通信機能とGPSにより運転する高齢者の「安全運転をサポートし、見守るご家族等にも安心をご提供する」サービスを受けることができます。

提供されるサービスは「事故防止支援に関するサービス」と「衝撃検知時の自動発信サービス」及び「安全運転診断サービス」の3つになります。

事故防止支援に関するサービス

高齢者が運転中に危険な走行等を検知した場合に、専用車載器からアラート通知で危険を知らせます。
また、「高速道路逆走注意アラート」「指定区域外走行アラート」が発信された場合は、見守り者(指定連絡者)に対してその内容を通知します。

主な危険アラートは以下のとおりです。

安全運転支援アラート

  • 急発進や急減速(急加速や急減速を5回検知したとき)
  • ハンドリング(急ハンドルを5回検知したとき)
  • ふらつき(ふらつき運転を5回感知したとき)
  • 走行時間(走行時間が2時間を超えるとアラートで知らせ、その後も30分ごとにアラートで知らせます)
  • 事故多発地点接近(三井住友海上のデータ上で事故多発地点に近づいたとき)
  • 交通標識地点走行(生活用道路などの30キロ規制の道路に接近したとき)
  • 一時停止(一時停止地点を5回一時停止しなかったとき)
  • 気象情報(気象警報などが発令されている地域に接近した場合)
  • 動物注意(シカなどの希少生物が生息する地域に接近したとき

高速道路逆走注意アラート

逆走事故が発生した場所や、高速道路などの逆走を感知した時にアラートで注意喚起すると同時に、見守り者(事前に登録)に通知します。

指定区域外走行アラート

事前に登録された指定区域外を走行した場合に、アラートで知らせると同時に見守り者(事前に登録)に通知します。

この自動車保険の「高齢者見守りサービス」は、親族が高齢者の運転状況などのデータを見ることで、認知機能の低下を事前に把握できるので、運転を自粛させるなどの対策ができ、高齢者の事故防止に役立たせることができます。

同じサービスは、グループ会社である「あいおいニッセイ同和」でも「タフ見守るクルマの保険」で提供されています。(どちらもこのサービスの特約保険料は専用のドライブレコーダー付きで月々850円です)

また、2021年1月からあいおいニッセイ同和では月々100円の特約保険料で、同様の見守りサービスが付いて運転特性割引付きが適用される「タフ見守るクルマの保険プラスS」が発売されています。

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月々100円で楽しめて保険料も安くなる「あいおいニッセイ同和のプラスS」とは

まとめ

高齢者の事故が社会問題化されて、連日悲惨な事故が報道されていますが、高齢者にとって車は生活の足であり、認知機能が低下しているからといって、運転を止める事はできないのが現実です

しかしながら、高齢者が起こす事故の犠牲者が、小さな子供だったり、学生だったりして、その将来を奪うことも絶対に許すことはできません。

高齢者は自ら認知機能の低下を認識して、運転免許の返納を検討することは、あまり現実的ではないのも事実なので、家族の協力を得て、先進安全自動車に乗り換えさせるか、認知機能の低下が疑われた時は、半強制的に免許証を返納させることも検討すべきです。

高齢者による事故は、被害者や加害者になった高齢者だけでなく、その家族全員が不幸になるのです。

 

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