カーポートや物置などの雪害被害 火災保険の補償対象になるのか?

カーポートや物置の雪害 その他の損害保険

2021年12月25日から27日にかけて西日本を中心に大雪となり、彦根市では27日5時までの24時間降雪量が観測史上最多の68 cmを観測しました。また、12月26日から28日にかけて北日本を中心に大雪となりました。青森市の市街地では12月としては37年ぶりに1 mを越える積雪深を観測し、市全域で交通障害が発生したほか、むつ市や野辺地町では積雪深が12月の観測史上最大となりました。
北海道では2022年2月22日午前5時現在の積雪は117cmと、平年の1.5倍以上となっているほか、恵庭市では積雪125cmを記録し、統計開始以来1位となっています。

異常気象とも言える大雪で、建物やカーポート、物置などが損傷する雪害が発生しますが、火災保険でどこまで補償の対象になるのでしょうか?

火災保険はほとんどが「雪害」を補償している

多くの火災保険では、一部の共済を除き火事以外の損害も補償しています。

最もベーシックな火災保険は、「住宅火災保険」と「住宅総合保険」ですが、その補償内容は以下の通りです

住宅火災保険の補償範囲

住宅火災保険の補償範囲は以下の通りで、洪水や土砂崩れを補償する「水災」は対象外です。

住宅火災保険で補償される範囲は以下の通りです。

  • 火災・落雷・破裂・爆発
  • 風災・雪災・ひょう災(損害の額が1敷地内で20万円以上の場合のみ補償対象になります)

住宅総合保険の補償範囲

住宅総合保険は住宅火災と比べて補償範囲が広く、「水災」が補償されています。

  • 火災・落雷・破裂・爆発
  • 風災・雪災・ひょう災(損害の額が1敷地内で20万円以上の場合のみ補償対象になります)
  • 盗難
  • 水災
  • 水濡れ・外部からの物体の落下や飛来
  • 騒じょうなどによる暴動・破壊

参考:日本損害保険協会のHP

建物以外のカーポートや物置などは補償対象になるのか?

通常「住宅火災保険」や「住宅総合保険」は、建物の付属物である「門・垣・塀・物置・車庫」は自動的に補償対象になりますので、カーポートや物置などの付属物が雪害により損傷すれば、保険金支払いの対象になります。

例えば、以下のような事故は雪害として補償されます。

  • カーポートに積もった雪の重さでカーポートがつぶれた
  • カーポートに積もった雪の重さでカーポートが変形した
  • 建物の屋根にできた雪庇や氷柱が落下してカーポートや物置が損傷した

雪害や風災の被害は、カーポートや物置などの付属物が単独で損傷しても火災保険の補償対象になります。
*水災については、建物が水災の支払い対象に認定されないと、カーポートや物置単独では補償されません。

カーポートや物置以外の付属物の補償はどうなの?

建物の付属物は、カーポートや物置以外にもたくさんあります。

先述した、「門・垣・塀・物置・車庫」は明確に保険の対象に含まれますが、その他の付属物は補償されるのでしょうか?

保険会社により表現は異なりますが、火災保険の約款には、「被保険者の所有する電気、通信、ガス、給排水、衛生、消火、冷房、暖房、エレベーター等の設備のうち、建物に付加したものは、特に除外しない限り保険の対象建物に含まれる」と記載されていますので、これらの設備の機能を維持するための設置された設備は全て保険の対象となります。

(3)建物が保険の対象である場合には、次に掲げる物のうち、被保険者の所有するものは、特別の約定がないかぎり、
保険の対象に含まれます。
① 畳、建具その他これらに類する物
電気、通信、ガス、給排水、衛生、消火、冷房・暖房、エレベーター、リフト等の設備のうち建物に付加したもの
③ 浴槽、流し、ガス台、調理台、棚その他これらに類する物のうち建物に付加したもの(注1)
④ 門、塀もしくは垣または物置、車庫その他の付属建物(注2)
(注1)浄化槽は、保険の対象に含みません。
(注2)擁壁および土地の崩壊を防止するための構造物は、保険の対象に含みません。
*ソニー損保の新ネット火災保険の約款から抜粋

代表的な付属物は以下のとおりです。

  • エアコンの室外機
  • テレビアンテナ
  • 屋外に設置したエコキュート
  • 寒冷地にあるような屋外灯油タンク など

注意したい「雪災」の支払い条件

「雪災」の補償については、長期契約などはその加入時期にもよりますが、いくつかの支払い条件があります。

20万円フランチャイズ

20万円フランチャイズとは、「風災・ひょう災・雪災」の損害の額が、1事故20万円以上になった場合に、その損害に対して保険金が支払われます。(住宅総合保険や店舗総合保険などの古い火災保険はすべてこの方式です)

この支払い条件の特徴は、20万円未満の損害が発生した場合は保険金は支払われませんが、20万円以上の損害が発生した場合には、損害額に対して保険金が支払われます。(30万円の損害が発生した場合に30万円-20万円=10万円の保険金を支払うものではなく、30万円全額が支払われます)

損害額20万円以上の認定単位は、雪災の損害が発生した保険の対象について、敷地内の被害を一括して損害額の認定を行います。(建物の損害については、加入している建物本体以外にも、物置や車庫などの付属物の損害も合算します)
たとえば、雪災の損害額が、建物15万円・物置10万円であった場合は、合計25万円の損害として補償されます。(もし家財にも火災保険に加入していて、家財にも被害があった場合は、家財の損害額も合算します)

また、加入している火災保険が建物と家財と別々な保険会社に加入している場合や、加入している保険の種類が異なっている場合でも、その損害額の合計が20万円以上であれば支払い対象となります。

また、雪災などは、シーズンを通して損害が発生しますので、1回の事故としての認定ではなく、シーズンを通しての損害の合計が20万円以上の損害になれば支払い対象になります。

特にカーポートや物置など単独での雪災の場合は、損害額が少額になることが多いので注意しましょう。

免責金額方式(自己負担額設定方式)

「風災・ひょう災・雪災」の免責金額(自己負担)方式とは、雪害等の損害額にかかわらず保険金が支払われる方式ですが、免責金額(自己負担額)を「免責なし・1万円・3万円。5万円」などから選択でき、「免責なし」を選択すると、損害額にかかわらず全額補償されます。(この場合の保険料は、免責金額が大きいほど安くなります。)

カーポートや物置などの雪災の多くは小損害である場合が多く、10万円以下の損害も少なくありませんので、保険料が割高になりますが、「免責なし」を選択することをおすすめします。

小損害の例

  • 自宅の物置が強風で転倒  ⇒ 10万円以下の損害
  • 屋根のアンテナが強風で破損⇒ 5万円以下の損害 など

家財にも火災保険は必要

物置などには季節的に使わない家財などが収容されていますが、建物が雪害で損傷した場合、中の家財も被害を受けることがあります。

この場合家財にも火災保険に加入していると、中の家財も補償の対象になります。
家財は建物の中だけ補償されると思いがちですが、建物の敷地内であれば、物置や軒下にある家財も補償の対象になりますので、家財の火災保険も加入しておきましょう。

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