車両保険は保険料が結構高く、予算を考えるとなかなか難しい判断です。
ここでは、車両保険に加入すべき人と、しなくていい人を説明します。
車両保険に加入すべき人
車のローンを払っている人
100万とか200万またはそれ以上の車を「現金」で買う人は、それほど多くなく、自動車ローンで買うのが一般的ではないでしょうか。
車をローンで買った人が、車両保険に加入せずに事故を起こしたら、当然自分の車の修理費は自分のお財布から払うことになります。
実際に高額な修理費を現金でポンと払える人は稀で、修理を諦めたり、修理のためのローンを組んだりします。
最悪の場合、修理ができずに、車を手放し、残るのは車を買った時のローンだけになります。
車のローンを払いながら、もう1台分のローンを払うことは、相当な高収入の人以外は不可能であり、もともとローンで車を買っている人が高収入とは思えません。
『保険料が高いから車両保険に加入しない』との発想は危険であり、車のローンを払っている人は、必ず車両保険に加入すべきです。
車両保険には、その補償範囲の違いで、「一般条件」と「車対車+限定A」と2種類あり、「一般条件」はほとんどオールリスクですが、「車対車+限定A」は自爆事故や当て逃げなどは補償されません。(当て逃げを補償する会社もあります)
保険料は「車対車+限定A」が安く、「一般条件」の半分くらいになります。
どーしても保険料が高いという人は、最悪「車対車+限定A」に加入する選択もありですが、無理をしてでも「一般条件」に加入すべきです。
私も仕事柄、新車を買った人が保険料を節約するために、車両保険に加入せず事故を起こし、泣く泣く車を手放した人を山ほど見ています。
最も悲劇的な例は、若い女性で、新車を迷った末に買う決心をして、銀行に自動車ローンを申し込み、ようやくその車を受け取りに行き、その帰りに自爆事故を起こしました。
残念ながら、その女性は車のローンを払うために車両保険を「車対車+限定A」で加入していて、修理もできず。車を手放しました。
まだ1回もローンを払っていなかったので、5年間は車を買えませんでした。
このような例はたくさんありますので、注意しましょう。
今の車を長く乗りたい人
車をローンで買った人も、3年や5年でローンの支払いが終わりますが、今では車の買い替えサイクルが長くなっていて、すぐに新しい車に買い替える人は少なくなりました。
その代わり、今の車を大事に使い、10年とか長く乗る人が増えていますので、そんな方は、是非車両保険に加入してほしいものです。
車両保険の補償額(保険金額)は、その車の価値までしか加入できませんので、ローンを払い終わるころには補償額も低くなり、保険料も割安になってきます。
車の修理費は以前よりも高額になっていることもあり、車を長く乗りたい人は是非車両保険に加入したいものです。
大きな事故を起こして、修理不能(全損)になっても、車両保険に加入していれば、受け取った保険金で同程度の中古車を買うこともできます。
車両保険に加入しなくてもいい人
基本的に車両保険は全ての人に加入して欲しいものですが、中には必要のない人がいます。
このような人は、車両保険に加入しなくても大丈夫です。
たくさんお金を持っている人
車両保険に加入しなくてもいい人は、たくさんお金を持っている人です。
新車を現金でポンと買って、『もし事故を起こしたらまた買えばいい』のような人は、特に車両保険に加入する必要はありません。
もともと保険は、少ない掛け金で、もしもの時に備えるとの発想でできていますので、自分で全てまかなえる人は、保険に加入する必要はないのです。
対人賠償保険や対物賠償保険などの「賠償保険」は被害が高額になる場合に備えて、必ず加入すべきものですが、車両保険はいわゆる「自己責任」の世界なので、自分で全て解決できる人には必要ないのです。
古い車に乗っている人
かなり古い車に乗っていて、もし事故を起こしたら、新しい車を買うつもりの人は、特に車両保険に加入する必要はありません。
そのような古い車には、多額の補償で加入することもできませんので、あまり加入する意味がありません。
車両保険の保険金額(補償額)はその車の価値(中古市場での評価の平均くらいまでが限度)までしか加入できませんので、とても修理費を賄えるだけの金額ではありません。(新しい車を買う頭金くらいにはなりますが)
中古市場でその車の相場が確認できない場合(不人気車など)は、損害保険会社は新車価格の10%くらいしか車両保険に加入させてくれません。
まとめ
車両保険は自動車保険加入者の約60%が加入していますが、どちらかというと、資金に余裕のある人が加入している傾向があり、本当に車両保険が必要な人が加入できていないのが現状です。
自動車保険の事故率(1年間に事故を起こす確率)は約10%強であり、統計上は10年間運転すれば、1回は事故を起こすのです。
保険料の高い代理店型自動車保険に車両保険を付けないで加入するより、ダイレクト型自動車保険に車両保険付きで加入するほうがはるかに賢い選択です。
車両保険を付けても、免責金額を多く設定するなどの工夫で、車両保険に安い保険料で加入することを検討しましょう。