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災害救助法とは
災害救助法は、災害の際に、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった方の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としています。
災害救助法による救助は、都道府県知事が行い(法定受託事務)、市町村長がこれを補助します。
救助の種類
(1)避難所、応急仮設住宅の設置
災害時において、一時的に学校の体育館や公民館等を避難所として設置した場合や、災害のため住家が全壊等した被災者に対し、簡単な住宅を仮設し一時的な居住の安定を図ることを目的とした仮設住宅を設置するものです。
また、避難所の設置では、高齢者等の災害時要援護者で一般の避難所での生活に支障をきたすなど、何らかの特別の配慮を必要な対象者に対し、その対応が可能な福祉避難所を指定するよう推進しています。
(2)食品、飲料水の給与
災害時において、自炊等できない被災者に対し、応急的に炊出し等による食品を提供するものです。また、水道が断水した場合には、飲料水を提供するものです。
(3) 被服、寝具等の給与
災害により、日常生活に欠くことができない被服、寝具その他の衣料品及び生活必需品を喪失又は毀損した者に対し、急場をしのぐための被服、寝具等を給与又は貸与するものです。
(4) 医療、助産
災害のため医療機関が混乱し、被災地の住民が医療の途を失ったような場合に、速やかに救護班を編成・派遣し、応急的に医療を提供するものです。
(5) その他
住家の全壊等により学用品を喪失又は損傷した場合に、小学校児童等に対し給与等を行っています。
○参考法令 「災害救助法」(昭和22年10月18日法律第 118号)
災害救助法が適用された場合の自動車保険の取り扱い
地震などの災害が発生した場合に、各損害保険会社は、災害救助法が適用された地域の契約者に対して、2種類のと救済措置をしてくれます。(損害保険会社により取り扱いが多少異なります)
大阪北部地震の災害救助法適用地域は以下の通りです。
大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、寝屋川市、箕面市、摂津市、四条畷市、交野市、三島郡島本町
継続契約の締結手続きの猶予
災害救助法が適用された日(大阪北部地震では6月18日)から2ヶ月以内に満期を迎える、被災契約者の継続手続きを2ヶ月を限度に猶予されます。
この措置から、自動車保険が満期日を過ぎて、継続手続きをしていなくても、その間に事故が起きた場合でも保険金を支払います。
これは、災害が発生して、被災者となった契約者が、自動車保険の継続手続きをしたくても、避難所生活などで連絡が取れず、継続手続きをできない場合を想定して、契約者を保護するための措置です。
保険料の払い込み猶予
災害救助法が適用された日から、2ヶ月以内に被災した契約者が払い込むべき自動車保険の保険料について、2ヶ月を限度に払い込みを猶予してくれます。
本来、自動車保険の保険料は、契約と同時か、指定された口座振替日(口座振替契約の場合)に払い込まなければ、ある一定の猶予はあるものの、自動車保険自体が失効し、事故が起きても保険金が払われないのですが、災害救助法が適用されれば、被災契約者は2ヶ月を限度に猶予されます。
この保険料支払い猶予措置は、分割払いの保険料が既に2回分未払いになっている場合の、失効期日にも適用されます。
自動車保険以外の取り扱い
自動車保険以外の損害保険や生命保険は以下の通りの取り扱いとなります。
火災保険、傷害保険などの損害保険(自賠責保険を除く)
- 継続契約の締結手続きの猶予
- 保険料払い込みの猶予
- 積み立て保険の任意解約を契約者に有利な計算方法で行う(積み立て保険の場合)
- 積み立て保険の解約・満期時の本人確認を簡略化(積み立て保険の場合)
自賠責保険
契約している車が罹災したために使用不能となった場合の失効手続きが、通常の場合と取り扱いが異なります。
生命保険の場合
生命保険の場合は、自動車保険などの損害保険とは多少取り扱いが異なります。
〇保険料払い込み猶予期間の延長
災害救助法適用地域の被災者からの申し出があった場合は、払い込み猶予期間を最長6ヶ月間延長します。
〇保険金支払いの簡易迅速取り扱い
保険金や給付金支払いに際し、必要書類を一部簡略化します。
〇契約者貸し付けの簡易迅速支払い
契約者貸し付けの申し出があった場合、必要書類を一部簡略化することで支払いを迅速化します。
*加入している生命保険会社で多少異なります。
日本損害保険協会による「自然災害等損保契約照会制度」とは
地震などの災害に遭った被災者は、自分が加入している火災保険や自動車保険などの損害保険が、どの保険会社だったのか分からないことがあります。
損害保険は、保険会社に氏名と生年月日等で加入している契約内容を照会できますが、多くの保険会社に直接問い合わせるのは、非常に困難です。
そんな被災者のために、日本損害保険協会では、会員会社に一括で照会してくれる「自然災害等損保契約照会制度」を設けています。
この「自然災害等損保契約照会制度」を利用すれば、日本損害保険協会に依頼するだけで、自分が加入している自動車保険や火災保険などの契約が、どこの保険会社か判明するだけでなく、保険会社の方から連絡が来て、事故の対応をしてくれます。
この制度を利用できる人の範囲は、被災した契約者本人の他に、被災された本人の親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)です。。
まとめ
大きな地震や水害などの自然災害が発生すると、被災者は着の身着のままで避難しますので、所在がわからずに連絡が取れなかったり、所持金や預貯金通帳なども持参してないことも想定されます。
自動車保険などは、地震による損害を補償対象とはしていませんが、保険料未収による契約の失効が起きないように、各保険会社は、一定の救済措置を発表して、被災した契約者を保護してくれます。
但し、この特別措置の適用を受けるためには、被災者から書面による申し出があり、保険会社が被災実態を確認した場合に限られますので注意が必要です。