自動車保険の等級は、全ての損害保険会社の自動車保険で引き継ぐことができますが、共済からも等級を引き継ぐことができます。
共済から等級を引き継ぐ場合には、注意しておきたいことがありますので、詳しく説明しましょう。
目次
共済とはどんなしくみ?
共済は、居住地や職業など一定の共通点を持つ人々がお金(掛け金)を出し合い、死亡や病気など万が一の時に現金(共済金)を受け取れる仕組みをいいます。
また、営利を目的とせず、組合員同士の助け合い(相互扶助)という理念の下に事業活動(共済事業)を行っている組織のことで、営利を目的としていないので、民間の保険と比べて、掛け金が安く設定されていることが多いのが特徴です。
自動車保険の等級を引き継げる共済とは?
自動車保険と同じ役割を果たす、「自動車共済」には、構成する団体により、いろいろな種類が存在しますが、民間の自動車保険に等級を引き継げる共済は、以下のとおりとなっています。
JA共済
最も代表的なのがJA共済で、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が、全国のJAを通じて販売しています。
全労災(全国労働者共済生活協同組合連合会)
全労災は、消費生活協同組合法(生協法)にもとづき、厚生労働省の認可を受けて設立された、共済事業を行う協同組合です。
もともとは、労働組合の共済活動を全国レベルの組織として結成したのが始まりで、事業の拡大のために、地域社会の住民までを加入対象にしたものです。
全労災には、以下の共済もグループとして存在します。
JP共済生協(日本郵政グループ労働者共済生活協同組合)
JP共済生協は消費生活協同組合法(生協法)に基づき、厚生労働省の認可を受けて設立された共済事業を行う生活協同組合(生協)で、郵政関連企業で働く社員を加入の対象としています。
電通共済生協(電気通信産業労働者共済生活協同組合)
電通共済生協は、厚生労働省の認可を受けて設立された生活協同組合で、NTT、NTTグループ、KDDI、通信建設会社などの社員・組合員約35万人が加入の対象者です。
全水道共済(全日本水道労働者共済生活協同組合)
全水道共済は水道・下水道・ガス事業等に関わる地方公営企業、民間企業に働く労働者が組合員で、組合員数である2万2千人が加入対象となっています。
全国交運共済生協(全国交通運輸産業労働者共済生活協同組合)
全国交運共済生協は、JR及び関連会社に働く社員の福祉の向上を図る目的で、昭和38年4月に発足し、加入組合員数は17万3,000人であり、加入の対象者となっています。
森林労連共済(全国森林関連産業労働者共済協同組合)
森林労連共済は、名称の通り森林・林業・林産業等、広く「木」に関連する産業徒事者を対象とする職域生活協同組合で、組合員が加入の対象者です。
全たばこ共済(全日本たばこ産業労働者共済生活協同組合)
消費生活協同組合法(生協法)にもとづき、厚生労働省の認可を受けて設立された「たばこ産業」に関連する企業に働く社員を対象とした共済事業を行う職域生活協同組合です。
全自共(全国自動車共済協同組合連合会)
全国自動車共済協同組合連合会は、中小企業者のために自動車共済事業を運営する北海道・東北・関東・中部・西日本の5地区の自動車共済協同組合と、全日本火災共済協同組合連合会(日火連)を会員とする全国団体です。
教職員共済(教職員共済生活協同組合)
教職員共済生活協同組合とは、消費生活協同組合法(生協法)にもとづき、教職員のみを対象とする団体としては唯一、厚生労働省の認可を受けて設立された、共済事業を行う生活協同組合です。
共済から等級を引き継ぐ場合の注意点とは?
ほとんどの自動車共済から等級を引き継いで自動車保険に乗り換えることができますが、乗り換える際に注意しておきたいことがあります。
補償の空白時間を作らない
一般の自動車保険は、保険期間の始まる日の午後4時から補償が開始され、保険期間の最終日の午後4時に補償が終了しますが、共済によっては、共済期間が始まる日の午前0時に補償が開始され、最終日の午後0時(24時)に終了してしまいます。
この場合、乗り換える自動車保険の始まる時間を午前0時(0時)に設定しないと、補償の空白時間が発生してしまいます。(自動車保険は、加入する時に補償を開始する時間を指定できますが、時間を指定しないと、自動的に午後4時からの補償開始となってしまいます)
一部の共済は「事故・無事故証明」が必要
自動車保険の等級は、損害保険業界共通の「自動車保険情報交換制度」で管理されていますので、契約していた保険会社名と証券番号などで、データ交換され、自動的に等級の引き継ぎができますが、教職員共済(教職員共済生活協同組合)だけが、この情報交換制度に参加していませんので、書面による「事故・無事故証明」の提出が必要になります。(平成30年1月現在)
*「事故・無事故証明」は、加入している教職員共済で発行してくれます。
全労災の21等級と22等級の取り扱い
自動車保険の等級は1等級から20等級の20段階で構成されていますが、全労災は22等級まで存在しますので、事故の有無により、適用される等級が変わってきます。(ただし、20等級が上限になります)
- 全労災で22等級で、3等級ダウン事故が1件発生していた場合は19等級の事故有り係数期間3年が適用される。
- 全労災で22等級で1等級ダウン事故が1件発生していた場合は20等級の事故有り係数期間1年が適用されます。(20等級が上限のため)
- 全労災で21等級で、事故なしの場合は、20等級事故有り係数期間ゼロが適用されます、(20等級が上限のため)
まとめ
自動車共済は、もともと営利を目的としていないために、保険料(掛け金)が一般の自動車保険より安く加入できますので、保険料を節約したい人には魅力的な存在です。
しかしながら、事故の時の対応力や、ロードサービスなどの付帯サービスは、どうしても民間の自動車保険に比べると、見劣りしてしまいます。
最近では、ダイレクト型自動車保険の保険料とそれほど格差が無くなってきていますので、同じ保険料を支払うのであれば、サービスや事故対応が充実しているダイレクト型自動車保険に乗り換えることをおすすめします。
自動車保険は、毎年更新のタイミングが来ますので、同じ共済や保険会社で更新するのではなく、一括見積りサービスを上手に活用して、多くの保険会社から見積もりを取り、保険料とサービスなどのバランスの良い自動車保険に切り替えることを検討しましょう。