火災保険のベースになっているのは、従来から存在する「住宅火災保険」と「住宅総合保険」ですが、現在では各社独自商品を販売しており、特色のある火災保険が多く存在します。
しかしながら、各社の独自商品が登場したのは、1996年以降の損害保険自由化からなので、25年以上の長期契約で加入した住宅火災保険や住宅総合保険が、いまだに存在しています。(現在火災保険の長期契約は10年までしかできません)
住宅火災保険と住宅総合保険は、現在多発している水害などの自然災害にはあまり対応できていませんので、加入している火災保険がどのような補償内容なのかを理解しておく必要があります。
目次
住宅火災保険の補償範囲
住宅火災保険の補償範囲は以下の通りで、洪水や土砂崩れを補償する「水災」は対象外です。
住宅火災保険で補償される範囲は以下の通りです。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雪災・ひょう災(損害の額が1敷地内で20万円以上の場合のみ補償対象になります)
住宅総合保険の補償範囲
住宅総合保険は住宅火災と比べて補償範囲が広く、「水災」が補償されています。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雪災・ひょう災(損害の額が1敷地内で20万円以上の場合のみ補償対象になります)
- 盗難
- 水災
- 水濡れ・外部からの物体の落下や飛来
- 騒じょうなどによる暴動・破壊
住宅総合保険 | 住宅火災保険 | |
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
ガス爆発などの破裂・爆発 | 〇 | 〇 |
風災・ひょう災・雪災 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | × |
水災 | 〇 | × |
給排水設備の事故等による水濡れ | 〇 | × |
自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突 | 〇 | × |
騒じょう等による暴行・破壊 | 〇 | × |
*画像は日本損害保険協会のHPから引用
住宅総合保険でも、水災や土砂崩れを100%補償されない?
住宅総合保険は、一応水災が補償範囲となっていますが、被った損害を100%補償してくれる訳ではなく、損害割合に応じた一時金や損害額の70%までの補償となっています。
住宅総合保険の水災支払い方法
①保険をかけている建物や家財の損害割合が30%以上となった場合
・損害額×70%
・ご契約金額×70%のいずれか低い方
上記以外で床上浸水となった場合
②保険をかけている建物や家財の損害割合が15%以上30%未満の場合
・ご契約金額の10%(ただし、1事故・1敷地内200万円が限度)
③保険をかけている建物や家財の損害割合が15%未満の場合
・ご契約金額の5%(ただし、1事故・1敷地内100万円が限度)
ただし、建物・家財両方が②または③の損害を受けた場合は、合算して200万円が限度
洪水や土砂崩れによる損害は、水災を補償している住宅総合保険でも、上記の支払い方法になるので、例えば、洪水で家ごと流されても、最大で実際の損害額か、契約金額の70%しか払われません。
また、河川が氾濫して、1階部分が泥だらけになっても、全体の30%以上の損害割合にならなければ、最大で200万円しか受け取れないことになります。
洪水や土砂崩れを100%補償してくれる火災保険がある?
現在の火災保険では、自然災害に100%対応した商品が主流となっていて、各損害保険会社は、水災を100%補償する火災保険を販売しています。
基本的にどの保険会社でも同じような商品構成で販売していますが、ここでは三井住友海上の商品で説明します。
三井住友海上の場合
三井住友海上では、「GKすまいの保険」の名称で火災保険を販売していますが、以下の3つのコースから選択して加入します。
- 6つの補償プラン(水災補償有り)
- 5つの補償プラン(水災補償有り)
- 4つの補償+破損汚損プラン(水災補償なし)
上記水災補償有りのプランでは、床上浸水または、地盤面から45㎝以上の浸水で、損害額全額が支払われます。
自分が加入している火災保険を確認しましょう
火災保険は、加入条件によって、水災が全く補償されていなかったり、70%の縮小払いなどになっている場合があります。
特に10年以上前に長期契約で火災保険に加入した人は、水災が補償されていても、70%の縮小払いになっている可能性がありますので、契約内容を確認しておくことをおすすめします。
また、火災保険を建物だけに加入している場合は、損害を受けた家財を買い替える費用が自腹になりますので、家財にも火災保険をかけておきましょう。
よく『汚れたら洗えば使える』と思っている人が居ますが、電化製品はほとんど使えなくなるし、その他の家財も悪臭で使えたものではありません。
家財の火災保険は、少ない補償でも加入している人と、加入していない人では、元の生活を取り戻すのに、雲泥の差になりますので、最低限加入しておきましょう。
まとめ
風災や雪災などは、一部の火災共済を除き、どんな安い火災保険でも補償されていますが、水災の補償は、安い火災保険では補償されていないことがあります。
今では、水災はどこで発生してもおかしくありませんので、多少高い保険料を払ってでも、水災が100%補償される火災保険に加入する必要があります。
また、古い火災保険に加入している人は、一度補償内容を確認して、もし水災補償が不足している場合は、新しい火災保険に切り替えることも検討しましょう。