賃貸住宅に入居した場合に必要な火災保険を詳しく解説

アパート入居時の火災保険を解説 その他の損害保険

賃貸住宅に入居した場合に、仲介してもらった不動産会社から、必ずすすめられる火災保険があります。

不動産会社は損害保険の代理店を兼務していることが多いのですが、すすめる火災保険について、詳しく説明していないことがほとんどで、その補償内容について理解している人はあまりいません。
この火災保険は、本来入居者の家財の補償なのですが、入居者のための保険ではなく、大家さん(貸主)のために加入する意味合いが強く、火災保険の補償は大家さんや他の戸室への賠償保険が中心となっています。

賃貸住宅を借りると火災保険に加入させられる理由

アパートやマンション、借家などの賃貸住宅契約終了の際、借りていた物件を入居前の状態に回復させることを「原状回復義務」といいます。

賃貸住宅を借りた人(賃借人)は、借りた戸室(賃借物)を善良な管理者としての注意を払って使用する義務を負っています。(民法第400条)
賃借人が故意又は不注意で賃借物に対して通常の使用をした場合よりも大きな損耗・損傷等を生じさせた場合には、賃借人は、善管注意義務違反によって損害を発生させたことになりますから、賃借人が原状回復義務を負い、その修繕費は賃借人が負担することになります。

賃借人には原状回復義務がありますので、火災などを起こしてしまうと、借りている物件を原状回復するためには多額の修理費を支払わなければなりません。

また、賃貸住宅を借りた人が、洗濯機やお風呂の水を出しっぱなしにして外出し、溢れた水が階下や隣接する他人の部屋を水浸しにしてしまった場合には、損害賠償責任が発生することもあります。

このような事故の際、スムーズに賠償金が支払われるように、火災保険に加入させられるのです。

賃貸住宅向け火災保険の必要性

日本損害保険協会のホームページから引用

日本損害保険協会のホームページへのリンク⇒

賃貸住宅向け火災保険の補償内容

火災保険に加入する目的は、大きく分けて建物の損害に備える火災保険と、家財の損害に備える火災保険があります。
賃貸住宅を借りる人が加入する火災保険のベースとなっているのは、「家財」の火災保険となります。

この家財の火災保険に、特約として、「借家人賠償責任特約」や「個人賠償責任特約」を付帯しているものが賃貸住宅の火災保険の標準モデルになります。

家財の火災保険

家財にかける火災保険は、賃貸住宅を借りている人の家財に火災などの事故で損害を被った場合に保険金を受け取れます>

家財とは
家財とは、賃貸住宅を借りている人が所有するテレビや冷蔵庫などの電化製品や、洋服、靴、カバンなどの日用品、自ら設置したエアコンやストーブなどのこと。
*エアコンや備え付きスのトーブなどは、大家さんが設置していれば、大家さんが加入している建物の火災保険の対象となります。

家財の火災保険では、以下の事由による損害を補償しています。

1.火災、落雷、破裂・爆発
火災、落雷または破裂・爆発(気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊またはその現象)をいいます。
2.風災、雹(ひょう)災、雪災
台風、旋(せん)風、暴風等による風災(洪水、高潮等を除きます。)、雹(ひょう)災または豪雪、雪崩等の雪災(融雪洪水を除きます。)をいいます。
3.物体の飛来・落下・衝突等
建物の外部からの物体の飛来、落下、衝突もしくは倒壊または建物内部での車両もしくはその積載物の衝突もしくは接触をいいます。
4.水ぬれ
給排水設備または他人の戸室で生じた事故に伴う漏水、放水または溢水による水ぬれをいいます。
5.盗難
強盗、窃盗またはこれらの未遂によって生じた盗取、損傷または汚損をいいます。
6.デモに伴う破壊行為等
騒擾(じょう)・集団行為・労働争議に伴う暴力行為もしくは破壊行為など、群衆または多数の者の集団行動によって平穏が害される状態などをいいます。

*加入する保険商品によっては、「水災」や「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)を補償している場合があります

またこれらの損害に伴う費用保険金も支払われます。

  • 臨時費用保険金
  • 失火見舞費用保険金
  • 水道管修理費用保険金
  • ドアロック交換費用保険金(加入する保険会社により補償されない場合があります)

借家人賠償責任特約

賃貸住宅の戸室を火災などの事故で破損してしまった場合、原状回復するために多額の修理費が発生します。
賃借人はその多額の修理費を支払う義務がありますが、この義務を果たせない場合、民法上の「債務不履行責任」により大家さんから損害賠償請求されることになります。

借家人賠償責任特約は、このような賃借人が負う損害賠償金を支払う特約です。

個人賠償責任特約

個人賠償責任特約とは、被保険者(ここでは賃借人)が日常生活に起因して、他人にケガをさせたり、他人の財物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。

借家人賠償責任特約が大家さんに対する賠償責任保険なのに対し、個人賠償責任特約は、家族以外の他人に対する賠償責任保険です。

この個人賠償責任特約は、補償される事故が多く、日常生活には欠かせない特約とされますが、賃貸住宅の入居者が請求可能な事故の一例は以下の通りとなります。

  • お風呂や洗濯機の水道の蛇口を開けたまま外出し、水が溢れ階下の戸室に流れて他人の家財に損害を与えた。
  • 子供が自転車で歩行者に衝突してケガをさせた。
  • ベランダに置いてあった植木が落下して、下に停車していた他人の車をへこませた。
  • 買い物に出かけて誤って陳列物を落とし破損させた。
  • 飼い犬が散歩中に他人に噛みついてケガをさせた。

修理費用特約

修理費用特約は、借家人賠償責任特約では対象にならない、次の1から6の事故により借用戸室に損害を与えた場合で、法律上の損害賠償責任は発生しないが、賃借人が賃貸借契約に基づき、自己の費用で現実に修理を行ったときに保険金が支払われます。

  1. 火災・落雷・破裂または爆発
  2. 風災・ひょう災・雪災
  3. 水濡れ
  4. 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など
  5. 騒擾・労働争議に伴う暴力・破壊行為
  6. 盗難

修理費用特約は、保険会社や加入する商品により、借家人賠償責任特約の補償に含まれている場合がありますので、必ず必要というわけではありません。

賃貸住宅向け火災保険の保険料は?

賃貸住宅向けの火災保険は、仲介業者が斡旋する火災保険と、入居者が自ら選択して加入する火災保険があります。

賃貸住宅を借りる場合、賃貸住宅用の火災保険に加入することが条件となっていることが多いですが、必ずしも仲介業者が斡旋(または自ら取り扱う)する火災保険に加入する必要はありません。

現在では、ダイレクト型火災保険が安い火災保険を販売していますので、予算に合わせて自ら安い火災保険を選択することができます。

ダイレクト型火災保険の保険料

賃貸住宅向けダイレクト型火災保険は、家財の補償に「借家人賠償責任特約」と「個人賠償責任特約」がセットになっていて、必要な補償が全て含まれている商品があります。

au損保の賃貸住宅向け火災保険「新バリュープラン」

au損保は、e-Net少額短期保険株式会社の代理店として、賃貸住宅向けの火災保険を販売しています。

au損保の賃貸住宅向け火災保険「新バリュープラン」は、一般の火災保険と異なり、建物の構造や加入する地域に関係なく、保険料が一律であり、インターネット等で加入する場合でもわかりやすくなっています。

au損保の賃貸住宅向け火災保険「新バリュープラン」の保険料表

au損保のホームページから引用

家財の保険金額目安はいくら?

賃貸住宅向けの火災保険は、基本となる補償は家財の保険ですが、加入する保険金額の目安は以下の通りとなっていますが、家財は加入する世帯で所有状況が大きく異なりますので、あくまで「目安」と考えましょう。

au損保の賃貸住宅向け火災保険「新バリュープラン」保険金額目安

au損保のホームページから引用

少額短期保険とは
少額短期保険は「ミニ保険」とも呼ばれ、その名の通り「少額」で「短期」の保険のみ取り扱うことができます。
少額短期保険業者が販売する損害保険は、契約期間2年以内(更新可)、引受額は1人あたり1000万円が上限、会社が引受けられる保険料の総額も50億円以下とされているため、一般の保険会社ほど厳しい規制を受けず、ペット保険や持病のある人向けの医療保険など、特定のニーズに合わせたニッチな保険をリーズナブルな価格で販売できることが強みです。
賃貸住宅の火災保険はまさにこの少額短期保険の要件に合うもので、現在多くの少額短期保険会社の商品が販売されています。
賃貸の火災保険における少額短期保険のデメリットは、地震保険に加入できないことです。

まとめ

賃貸住宅用の火災保険は、不動産仲介会社などが賃貸契約締結と同時に2年契約ですすめていて、あまり補償内容について説明していないので、保険契約者(入居者)が本来保険金請求ができる事故が起きていても、請求しないでいることが多くあります。

たとえば、加入している賃貸住宅用の火災保険に「破損・汚損」の補償が付いている場合、家財を室内で落としたり、子供がふざけて破損してしまうと、その修理費や再度同じものを購入する金額を請求できますが、補償内容を理解していないと保険金を請求することができません。

借家人賠償責任特約や個人賠償責任特約などの賠償保険は、事故が起きた場合、不動産仲介業者がある程度保険金請求を手伝ってくれますが、家財の事故の保険金請求は、契約者(入居者)が自ら保険会社に請求しないと、誰も教えてくれません。

せっかく加入している火災保険なので、しっかりその補償内容を理解して、保険金請求できる損害はしっかり請求しましょう。

【広告】自動車保険は比較することで安く加入できます。安くなった保険料は平均でなんと35,000円。

【広告】自然災害対策は火災保険一括見積で