車両保険が地震や津波でも補償される唯一の特約とは?

地震保険の加入方法 車両保険の必要性

自動車保険は、地震や噴火、または津波が原因の事故は、全て補償の対象外となっていますが、唯一補償されるのが車両保険の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」です。

自動車保険で地震や津波、噴火が原因の事故が補償されない理由

損害保険は自動車保険だけでなく、海外旅行保険を除き、全ての保険が「地震・噴火・津波が原因の事故は補償の対象外」となっています。

その理由は、地震や津波、噴火などが原因の事故は、その発生する被害の規模が大きく、損害保険会社の支払い能力をはるかに超える被害が発生する可能性があり、保険として成り立たないからです。

自動車保険以外の火災保険や傷害保険などでは、地震や噴火、津波が原因の事故を補償する特約などがありますが、自動車保険では、車両保険に付ける「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」しかありません。

東日本大震災以前は車両保険の「地震・噴火・津波担保特約」があった

2011年3月11日に発生しました「東日本大震災」では、津波などが原因で宮城県や福島県、岩手県などを中心に、自動車の被害が約24万件も発生しました。

この東日本大震災が発生するまでは、各損害保険会社は、車両保険に「地震・噴火・津波担保特約」を付けることができましたが、東日本大震災が発生した後は、この特約を廃止(または引受禁止)してしまいました。

この「地震・噴火・津波担保特約」の代わりに発売されたのが、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」で、自動車保険では、唯一「地震・噴火・津波」が原因の事故を補償しています。

「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」とは

地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約とは,、地震や噴火または津波により、契約している車が「全損」となった場合に、車の買い替え費用など臨時に必要となる費用に対し、「50万円」が一時金として支払われます。

車の「全損」とは

この特約で全損として認められる例として、契約している車が以下の状態になった場合です。

  • 「ルーフの著しい損傷」、「3本以上のピラーの折損・断裂またはこれと同程度の損傷」、
    「前面・後面ガラスおよび左右いずれかのドアガラスの損傷」のすべてが生じた場合
  • 津波等により流失・埋没し発見されなかった場合
  • 地震・津波等による火災により全焼した場合
  • エンジンのシリンダーに著しい損傷が生じ、修理が困難な場合
  • 地震による津波で車が流出したり、運転席のシート以上まで浸水した場合
  • 地震による火災で車が全焼した場合 など

*支払い基準は加入する損害保険会社により異なります。

車の各部の名称

「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」に加入できる条件は

「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」に加入するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 車両保険に加入していること
  2. 車両保険の条件が一般条件(オールリスクタイプ)であること
  3. 加入する車が二輪自動車、原動機付自転車(原付バイクなど)、農耕作業用自動車、特殊用途自動車(キャンピングカーを除く)、A 種工作車、B種工作車以外であること

保険金の支払われ方

車両保険の保険金額(補償額)にかかわらず、一律50万円が支払われます。
ただし、車両保険の保険金額が50万円未満の場合は、加入している保険金額が限度となります

地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約

「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」に加入できる自動車保険は?

「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」に加入できる自動車保険は以下のとおりです。

保険会社特約の有無
三井住友海上 〇
東京海上日動 〇
あいおいニッセイ同和 〇
損保ジャパン日本興亜 〇
ソニー損保 ×
アクサダイレクト 〇
チューリッヒ 〇
SBI損保 ×
そんぽ24 ×
セゾン自動車火災 ×
イーデザイン損保 ×
三井ダイレクト ×
JAの自動車共済 〇
全労災のマイカー共済 〇

まとめ

東日本大震災までは、車両保険に「地震・噴火・津波担保特約」を付けることで、加入している車両保険の保険金額(補償額)の全額が穂書されていましたが、東日本大震災で被害を受けた車があまりにも多く、損害保険会社各社は、「地震・噴火・津波担保特約」の販売を止めてしまいました。

その代わりに発売されたのが、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」なのですが、この特約は、いくら高価な車でも、一律50万円の支払いとなっていて、とうてい被害を受けた車と同じクラスの車を購入することができません。

50万円という最高支払い額は、単なる急場しのぎの一時金であり、中古車を購入できるギリギリの金額となっています。

東日本大震災の直後は、車を失った人たちが一斉に車を買い求めたので、中古車の在庫が足りず、中古車の値段が急騰してしまいましたので、50万円を受け取っても中古車が買えるかどうかは微妙です。

それでも、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」の特約保険料は、1年間で5,000円程度なので、地震が予想されている地域に住んでいる人は、検討の余地がありますね。

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