交差点での事故 直進車と右折車の過失割合

交差点での事故 直進車と右折車 【過失割合を解説】四輪車同士の事故

直進車と右折車の事故については、「右折車は直進車や左折車などの進行を妨害してはならない」とのルールがありますので、右折車に注意義務がありますが、直進車や左折車にも前方不注意などの過失が認定される場合がありますので、通常は、直進者と右折車の事故の当事者双方に過失が適用されます。

交差点での直進車と右折車の事故の過失割合

交差点での直進車と右折車の事故の場合、信号機のある交差点と信号機のない交差点に分けて基準が設けられています。

信号機のある交差点の事故

信号機のない交差点の事故

一方が優先道路の事故

用語の解説
著しい過失の例
・わき見運転や著しい前方不注意
・著しいハンドルやブレーキ操作誤り
・携帯電話などを通話のために使用したり、画像を注視しながら運転すること
・速度超過違反(高速道路以外で約15㎞~30㎞オーバー)
・酒気帯び運転 など

重過失の例
・酒酔い運転
・居眠り運転
・無免許運転
・速度超過違反(高速道路以外で約30㎞以上オーバー)
・過労、病気及び薬物の影響その他の理由で正常な運転ができない状態での事故

先入り
相手の車より先に交差点に進入していること

 

信号機のある交差点の事故

①お互いに青信号で進入した事故

直進車と直進車の事故 青信号同士

直進車と右折車が両方青信号の場合、直進車が優先することから、右折車に多くの過失が発生する。

基本過失割合直進車Ⓐ 20右折車Ⓑ  80
修正要素Bが既右折+10 
Aが法50条違反あり+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが直近右折 +10
Bが早回り右折 +5
Bが大回り右折 +5
Bが合図なし +10
Bがその他の著しい過失・重過失 +10

用語の解説
著しい過失の例
・わき見運転や著しい前方不注意
・著しいハンドルやブレーキ操作誤り
・携帯電話などを通話のために使用したり、画像を注視しながら運転すること
・速度超過違反(高速道路以外で約15㎞~30㎞オーバー)
・酒気帯び運転 など

重過失の例
・酒酔い運転
・居眠り運転
・無免許運転
・速度超過違反(高速道路以外で約30㎞以上オーバー)
・過労、病気及び薬物の影響その他の理由で正常な運転ができない状態での事故

先入り
相手の車より先に交差点に進入していること

法50条違反の交差点進入
信号機のある交差点に入ろうとする車は、渋滞などが原因で、交差点に進入した場合に交差点内で停止することがあるときは、交差点に進入してはならない(道路交通法50条1項)ルールになっていますが、これを守らずに、交差点に進入した場合は、右折車に基本過失割合の修正要素として加算されます。

②直進車・右折車ともに黄信号で進入した場合

直進車と直進者がともに黄色信号で進入した場合は、お互い信号規則に違反していることは、同等であるが、やはり直進車の優先度が高いことから、直進車に若干有利な過失割合になる。

直進車と右折車 黄信号同士

 

基本過失割合直進車Ⓐ 40右折車Ⓑ  60
修正要素Bが既右折+10 
Aが法50条違反あり+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが直近右折 +10
Bが早回り右折 +5
Bが大回り右折 +5
Bが合図なし +10
Bがその他の著しい過失・重過失 +10

*直進車と右折車がともに赤信号の場合は、ともに信号規則違反をているため、過失割合は同等であり、Ⓐ:50 Ⓑ:50となり、修正要素は黄信号の場合と同じ扱いになります。

③右折車が青信号で進入したあと赤信号で右折 直進車が赤信号で進入した事故

右折車が青信号で進入し、交差点内で対向車が途切れるのを待ち、赤信号で右折した時に、赤信号で進入してきた直進車との事故。
右折車が対向車が途切れるのを交差点内で待つ場合は、実際は赤信号になってから右折できることが多いため、赤信号で交差点に進入した直進車に多くの過失割合を適用する。

直進車と右折車 赤信号と赤信号
基本過失割合直進車Ⓐ 90右折車Ⓑ  10
修正要素
Aが15㎞以上の速度違反+5 
Aが30㎞以上の速度違反+10 
Aがその他の著しい過失+5 
Aがその他の重過失+10 
Bが合図なし +10
Bがその他の著しい過失・重過失 +10

*右折車が黄信号で進入した場合の基本過失は、直進車Ⓐ:70 Ⓑ:30になります。(修正要素は同じ)

信号機のない交差点の事故

信号機のない交差点での事故の場合、「左方優先」であり左側から交差点に進入する車の方に優先権がありますので、同じ幅員同士の事故では左方車の過失割合が有利になります。(道路交通法36条1項)

①同じ幅員同士で右折車が左方車の事故

信号機のない交差点事故 直進車と左方右折車 

 

基本過失割合直進車Ⓐ 40右折車Ⓑ  60
修正要素Aが減速せず+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bが早回り右折 +10
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

 

②同じ幅員同士で右折車が右方車の事故

信号機のない交差点事故 直進車と右方右折車 
基本過失割合直進車Ⓐ 30右折車Ⓑ  70
修正要素Aが減速せず+10 
Bが既右折+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

③右折車が狭い道(狭路)から広い道(広路)に出た事故

右折車が明らかに狭い道から右折する場合で、一時停止規制がない場合に適用されます。

信号機のない交差点事故 狭路から広路に右折
基本過失割合直進車Ⓐ 20右折車Ⓑ  80
修正要素Aが減速せず+10 
Bが明らかな先入+10 
Bが既右折+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが早回り右折 +10
Bが右折禁止違反 +10
Bがその他著しい過失 +5
Bが重過失 +10

④右折車が広路から直進車の進入してきた狭路に入る事故

広い道から狭い道に右折した時、狭い道を直進してきた車と接触した場合に適用される過失割合です。
*狭い道の方には、一時停止規制がない交差点です。

信号機のない交差点 広路から狭路に右折した事故
基本過失割合直進車Ⓐ 60右折車Ⓑ  20
修正要素Aが減速せず+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが早回り右折 +10
Bが右折禁止違反 +20
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

⑤右折車に一時停止の規制がある事故

右折車が一時停止をしないで、交差点に進入した場合の過失割合になります。

直進車と右折車 右折車に一時停止規制
基本過失割合直進車Ⓐ 15右折車Ⓑ  85
修正要素Aが減速せず+10 
Bが既右折+15 
Bが一時停止後進入+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが早回り右折 +10
Bが右折禁止違反 +10
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +15

 

⑥直進車に一時停止規制があり、右折車が左方車の事故

直進者Ⓐが一時停止をしないで、交差点に進入してきた場合の過失割合

直進車と左方右折車 直進車に一時停止
基本過失割合直進車Ⓐ 70右折車Ⓑ  30
修正要素Aが減速せず+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bがの早回り右折 +15
Aが一時停止後進入 +15
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +15

⑦直進車に一時停止規制があり、右折車が右方車の事故

直進車が一時停止をしないで、交差点に進入し、右折車が右方車である場合の過失割合

直進車と右方右折車 直進車に一時停止
基本過失割合直進車Ⓐ 60右折車Ⓑ  40
修正要素Aが減速せず+10 
Aが既右折+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Aが一時停止後進入 +15
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

一方が優先道路の事故

「優先道路」とは、道路標識で優先道路として指定されているもの、又はセンターラインが交差点内まで設けられている道路のこと。

①右折車が優先道路に出た事故

基本過失割合直進車Ⓐ 10右折車Ⓑ  90
修正要素Bの明らかな先入+10 
Bが既右折+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bが早回り右折 +10
Bがその他著しい過失 +5
Bが重過失 +10

②右折車が優先道路で直進してきた狭路車との事故

右折車Ⓑは優先道路から進入することから、狭路から直進してきたⒶに過失割合が多く適用されます。

右折車が優先道路の事故
基本過失割合直進車Ⓐ 80右折車Ⓑ  20
修正要素Aが減速せず+10 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+5 
Aがその他の重過失+10 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bが早回り右折 +10
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

③右折車が優先道路から直進車が向かう非優先道路に進入した事故

右折車が優先道路で直進車と同じ方向に進入する事故
基本過失割合直進車Ⓐ 70右折車Ⓑ  30
修正要素Aが減速せず+10 
Aが既右折+15 
Aが15㎞以上の速度違反+10 
Aが30㎞以上の速度違反+20 
Aがその他の著しい過失+10 
Aがその他の重過失+20 
Bが徐行なし +10
Bが右折禁止違反 +10
Bが早回り右折 +10
Bがその他著しい過失 +10
Bが重過失 +20

参考文献:民事訴訟法における「過失相殺率の認定基準」

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