2020年1月 軽自動車に型式別料率クラス導入 保険料は?

損保ジャパン日本興亜の「乗るピタ!」を解説 自動車保険トピックス

2018年10月23日損害保険料率算出機構【略称:損保料率機構、理事長:浦川道太郎】は、2020年1月以降に軽自動車の保険料の基準を改め、いままで一律だった自家用軽四輪乗用車の保険料を3段階に分けることを発表しました。

これにより、自家用軽四輪乗用車は2020年1月以降「型式別料率クラス」が導入されて、事故率や保険金の支払い実績によりクラス分けされ、安全性の高い型式は10%程度保険料が下がる一方、リスクが高い型式は約10%の値上げとなる見込みです。 

軽自動車に「型式別料率クラス」が採用される背景

軽自動車(自家用軽四輪乗用車)は、その使いやすさや維持費の安さから人気があり、2017年度には保有台数の約27%を占めるまで普及していますが、現行の自動車保険では、自家用軽四輪乗用車は保険料が一律となっています。(軽四輪乗用車と軽四輪貨物車は異なります)

更に自家用軽四輪乗用車は、その形状や構造、装備などが多様化していることと、安全運転サポート車(サポカー)やASVなどが次々に採用されて、同じ軽自動車でも安全性能に差がでてきているため、現在のような一律な保険料では現実と乖離が出てきていますので、2020年1月以降にその安全性能などで、保険料に差をつけるというものです。

保有車両総数に占める軽自動車の割合
一般財団法人 自動車検査登録情報協会から作成

型式別料率クラスとは
型式別料率クラスには「対人賠償責任保険」「対物賠償責任保険」「搭乗者傷害保険(人身傷害保険)」「車両保険」の項目があり、車の型式ごとにこの4つの項目を数字で区分しています。
保険金支払の実績が少ない型式ほど数字は小さくなり、逆に保険金支払の実績が多い型式ほど数字は大きくなります。
型式別料率クラスの数字が大きいほど、保険料は高くなります。
ASVとは
advanced safety vehicleの略 先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車です

自家用軽四輪乗用車の型式別料率クラスは3クラスに

2020年1月以降自家用軽四輪乗用車は、補償項目(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、搭乗者傷害保険・人身傷害保険、車両保険の4項目)ごとに「型式別料率クラス」を採用し、各項目3クラスに分類されます。

これにより、従来一律だった自家用軽四輪乗用車の保険料が、型式により異なる保険料となります。

自家用軽自動車の型式別料率クラス採用
新しく採用される自家用軽四輪乗用車の型式別料率クラスでは、クラス2が現行と同じ保険料水準で、クラス1は10%程度安くなり、クラス3では10%程度高くなります。
 

衝突被害軽減ブレーキ割引は発売後3年までとなる

 
現行では、自家用軽四輪乗用車に適用される衝突被害軽減ブレーキ割引(ASV割引)は、発売年に関係なく適用されていますが、「型式別料率クラス」導入後は、発売後3年までの適用となります。
 
これは、発売後3年が経過すると、衝突被害軽減ブレーキの安全性能がその車種の「型式別料率クラス」に反映されるため、割引の適用ができなくなります。
 

合わせて行われる自家用普通乗用車と自家用小型乗用車の型式別料率クラス改定

 
自家用普通乗用車と自家用小型乗用車には「型式別料率クラス」が既に採用されていますが、現行9ランクに分かれているクラスが17クラスに細分化されます。
 
型式別料率クラスが9クラスから17クラスに細分化されても、単に細分化されるだけで、1クラスと9クラスの保険料格差と、新しい1クラスと17クラスの保険料格差は4.3倍と同じであり、実質的に保険料水準は変わりません。
 

まとめ

 
自家用軽四輪乗用車は、最近では自家用小型乗用車よりも新車価格が高い車も多く存在することと、同じ自家用軽四輪乗用車も新車価格がピンキリで、安全性能にも大きな差がある現状では、自動車保険の保険料が一律に適用されているのは、実態に合っていないことが今回の改訂理由です。
 
今後さらに自家用軽四輪乗用車の高価格化と、安全運転サポート車やASVなどが次々に採用されれば、さらにクラスが増えて保険料が複雑化することが予想されます。

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