ここでは、弁護士費用特約を利用する時の手順と注意点を説明します。
目次
弁護士費用特約に加入しているかどうかを確認する
弁護士費用特約は、主に自動車保険に特約として加入することが多いですが、損害保険会社で加入を推奨していることから、今では全体の約70%の人が弁護士費用特約に加入しています。
弁護士費用特約を利用する時は、まず自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いているかどうかをを確認しましょう。
もし自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていない場合は、次の人(家族)の自動車保険に弁護士費用特約が付いているかを確認します。
〇配偶者が加入している自動車保険
〇自分か配偶者の同居の親族が加入している自動車保険
〇実家の両親が加入している自動車保険(未婚の場合)
ソニー損保のHPから引用
弁護士費用特約だけを請求する場合は、ノーカウント事故になりますので、自動車保険の等級に影響しないため、家族が加入する自動車保険の弁護士費用特約を使っても、保険料が高くならず、迷惑をかけませんので安心です。(加入している損害保険会社で取り扱いが異なります)
弁護士費用特約を利用したいことを保険会社に伝える
弁護士費用特約を利用する場合は、必ず加入している自動車保険の損害保険会社に伝えましょう。
弁護士費用特約は、全ての交通事故で利用できるわけではありませんので、起きた事故が弁護士費用特約の対象になる事故かどうかを確認する必要があります。
弁護士費用特約が利用できる事故とは
弁護士費用特約は、被保険者(補償の対象となる人)が自動車事故により、身体や財物に被害を受けた時に、事故の相手に損害賠償請求をする場合と、被保険者に責任がないにもかかわらず、相手から損害賠償の請求をされた場合に利用できる特約です。
事故の交渉を依頼する弁護士を決める
損害保険会社に弁護士費用特約を利用することを伝えたら、事故の交渉を依頼する弁護士を決めます。
弁護士の選任方法は3種類あります。
自分で弁護士を決める
弁護士には、交通事故に詳しい弁護士と、そうでもない弁護士が居ますので、できれば交通事故に詳しい弁護士に依頼する必要があります。
今ではインターネットなどで、交通事故を得意とした弁護士が全国展開していますので、探すのに苦労はしません。
自分で弁護士を探す場合の注意点
弁護士費用特約で支払う弁護士への報酬は、弁護士費用特約を販売している損害保険会社と日弁連LAC(日弁連リーガル・アクセス・センター)が決めている支払い基準により支払われますので、選任する弁護士が、この基準に沿った弁護士報酬で引き受けてくれるかどうかを確認する必要があります。
弁護士費用特約は、日弁連LAC(日弁連リーガルアクセスセンター)の支払い基準以上の支払いはしませんので、日弁連LACの支払い基準を上回る弁護士報酬は、依頼した人の自己負担になりますので、必ず交渉を依頼する弁護士に確認しましょう。
LAC基準とは弁護士費用特約の保険金支払基準のことで、日弁連LACが、協定損保会社と協議の上で弁護士報酬の基準を定めています。
協定損害保険会社は、弁護士費用特約の保険金は、LAC基準に沿って支払います。
弁護士費用特約を利用した法律相談や損害賠償請求の交渉を請け負う弁護士も、LAC基準を守る規則となっています。
日弁連LACと協定を結んでいる損害保険会社
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- au損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険株式会社
- セゾン自動車火災保険株式会社
- 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 全国自動車共済協同組合連合会
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- そんぽ24損害保険株式会社
- Chubb損害保険株式会社(旧エース保険))
- チューリッヒ保険会社
- 富士火災海上保険株式会社
- プリベント少額短期保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
日弁連の弁護士紹介サービスを利用する
弁護士費用特約を利用して弁護士に法律相談や交渉を依頼する場合は、日弁連LACの「弁護士紹介サービス」で弁護士を紹介してもらうことができます。
弁護士費用特約を販売している損害保険会社は日弁連とと提携していますので、加入している自動車保険の損害保険会社を通じて、弁護士の紹介を依頼することができます。
日蓮便LACから紹介される弁護士は、原則依頼者の住所の最寄りの弁護士を紹介されますし、日弁連LACの保険金基準に沿って弁護士報酬を請求することを知っていますので、安心して法律相談や交渉の依頼をすることができます。
損害保険会社が提携している弁護士を紹介してもらう
損害保険会社は、日ごろの事故処理について法律相談をしたり、難しい被害者との交渉をお願いするために、各地の弁護士事務所と顧問契約を結んでいますので、その弁護士を紹介してもらうこともできます。
これは、損害保険会社が弁護士を直接紹介することになりますので、依頼する側にとっては、損害保険会社に都合のいい交渉をするのではないかとの疑問を持たれる可能性があり、あまり積極的には紹介していないようです。
まとめ
弁護士費用特約は、損害保険会社が積極的に加入することを勧めていますので、年間の特約保険料が約2,000円前後と加入しやすいこともあり、今では多くの人が加入していますが、利用率は非常に低く、「宝の持ち腐れ」になっています。
自分に過失がない「もらい事故」の場合は、加入している自動車保険の事故担当者が示談代行ができませんので、ある程度の利用がありますが、自分にも過失がある事故では、事故処理担当者が事故の相手との交渉をしてくれるために、ほとんど利用されていないのが現状です。(自分に過失があると弁護士費用特約が利用できないと勘違いしている人も多いですが)
多くの弁護士費用特約の補償内容は、以下の通りとなっています。
弁護士費用等 被保険者1名につき300万円まで
また、弁護士費用特約だけを利用しても「ノーカウント事故」になる損害保険会社も多く、保険金を請求しても自動車保険の保険料には影響しませんので、事故の過失割合などに納得ができない場合は、法律相談だけの利用も有りです。
せっかく加入している弁護士費用特約は、利用できる時は利用しましょう。