弁護士費用特約があまり利用されていない4つの理由

弁護士費用特約のすすめ
真由美さん
弁護士費用特約を利用する時の手続きは簡単なのに、なんであまり利用されていないのですか?
元支社長
弁護士費用特約は事故の時に役に立つ特約ですが、あまり利用されていないのには理由があります

弁護士費用特約があまり利用されていない理由

弁護士費用特約はかなり普及していて、多くの人が加入していますが、その利用率は低く、加入している人の1%程度しか利用されていません。

弁護士費用特約に加入していることを知らない

弁護士費用特約を使わない第一の理由は、そもそも契約している契約者が、弁護士費用特約に加入していることを知らないことが多いことです。

自動車保険に加入する時、代理店型自動車保険では、契約の手続きを行う代理店が、契約する補償内容を詳しく説明する義務があるのですが、ほとんど自動車保険の知識がない代理店も多く存在するために、弁護士費用特約についての説明をされていないことも珍しくありません。

また、ダイレクト型自動車保険でも、各損害保険会社がホームページで弁護士費用特約の加入をおすすめしていますので、加入率も高くなっていますが、自ら弁護士費用特約を選択している契約者が、加入していることを忘れていることも多いからです。

自動車保険の事故処理担当者が弁護士費用特約をあまりすすめない

損害保険会社の事故処理担当者は、担当している事故の処理を早く済ませると、人事評価でいい点数がもらえますが、事故を起こした契約者が弁護士費用特約を利用して弁護士に相談したり、交渉を弁護士に任せたりすると、どうしても交渉が長引いてします。

そのために、自動車保険の事故処理担当者は、事故を起こした契約者が、弁護士費用特約に加入していても、事故の相手との交渉の結果に、どうしても納得できない場合以外は、敢えて弁護士費用特約の案内をしません。

多くの自動車事故では、事故形態により、事故の相手と自分と両方に過失割合が発生しますが、物損事故の場合、車両保険に加入していると、過失割合がどうなろうと、基本的に壊れた車の修理代は自動車保険の保険金で全て支払われますので、最終的に自己負担がなく、事故の処理が終了してしまいます。

単なる物損事故では弁護士費用特約を使ってもあまり効果がない

車両保険に加入していないと、自分の車の修理費のうち、相手の過失分は相手が加入している自動車保険の対物賠償責任保険で支払ってもらえますが、自分の過失分は自己負担になりますので、過失割合についてトラブルになりがちです。

この場合でも、過失割合は多くの事故パターンの過失割合が示されている「判例タイムズ」が基準になっている為に、大きく変動することはありませんので、弁護士費用特約を利用して弁護士に交渉を依頼してもあまり効果がありません。

しかしながら、事故によるケガなどを伴う人身事故では、弁護士費用特約を利用して、相手との交渉を弁護士に依頼すると、賠償金が大きく増えることがありますが、それでも弁護士費用特約を利用する人が少ないのが現状です。

日本人は弁護士を利用した経験が少ない

多くの人は、他人とのトラブル解消の為に、弁護士に法律相談をしたり、相手との交渉に弁護士を依頼した経験があまりありません。

弁護士の法律相談や交渉を依頼した場合の弁護士報酬が高額になる為に、相当高額な損害賠償請求など以外では、弁護士を利用する機会が少ないために、ほとんどの自動車保険の契約者にとって、弁護士という職業の人に馴染みがなく、その敷居が高いのです。

たとえ、弁護士費用特約が使えて、弁護士への法律相談や交渉を依頼した場合の弁護士報酬が、自己負担がなく、全て自動車保険でまかなえても、ほとんどの自動車保険の契約者は、敢えてこの特約を使おうとしません。

各損害保険会社は、契約者が弁護士費用特約を使いたいと申し出れば、「弁護士紹介サービス」を行っていますので、事故の交渉に納得できない場合は、迷わず弁護士費用特約を使って、法律相談や交渉の依頼をすべきなのです。

こんな時に弁護士費用特約を利用したい

弁護士費用特約を利用して、交渉を有利にすすめたい事故のパターンは

相手が100%悪い「もらい事故」の場合

相手が100%悪い「もらい事故」では、自分が加入している自動車保険の事故処理担当者は、事故の相手(加害者)との交渉をしてくれません。

その理由は、自動車保険のにサービスで付いてくる、「示談交渉サービス」は、相手の損害についての交渉しかできないために、「もらい事故」の被害者は、自分で事故の相手(加害者)が加入している自動車保険の事故処理担当者と交渉をしなければならないのです。

さすがに相手の事故処理担当者は、交渉のプロですから、弁護士費用特約を利用して、弁護士に交渉をまかせてしまった方が、有利な条件で賠償金を受け取ることができます。

人身事故の被害者になった場合

人身事故に遭って、ケガなどを負った場合に、弁護士に交渉を依頼した方が、結果的に多くの賠償金を受け取れることがほとんどです。

その理由は、自動車保険で支払われる人身事故の賠償金の算定基準と、弁護士が交渉に使う算定基準では、弁護士基準の方が金額が高く、多くの賠償金(特に慰謝料など)を請求してくれます。

参考記事:交通事故で交渉を弁護士に依頼すべき場合とは?

被害を受けた車の「格落ち損害」を請求できる場合

車は。事故などで大きく修理をしていると、中古価格の評価が落ちてしまい、実質的な財産価値が下がってしまいます。(修復歴のある車は中古車価格が安く、下取りや買取査定が低くなります)

新車で買って1年~2年くらいの新しい車であれば、いわゆる「格落ち損害」を請求できる場合があるのですが、「格落ち損害」は、自動車保険の事故処理担当者がなかなか認めようとはしません。

この「格落ち損害」についても、弁護士に交渉を依頼すれば、有利な交渉をしてくれるので、損害を受けた車の修理費の20%前後は「格落ち損害」として請求してくれます。(但し、新車で買ってから2年以上過ぎている車の場合は難しいと思います)

まとめ

自動車保険の「弁護士費用特約」は加入する自動車保険で異なりますが、年間の特約保険料が2,000円前後で加入できます。

ほとんどの自動車保険では、弁護士費用特約の補償内容が以下のようになっています。

  • 法律相談費用10万円(被保険者1名につき)
  • 弁護士相談費用300万円(被保険者1名につき)

また、弁護士費用特約は、複数の車を所有していても、どれか1台の自動車保険に加入しておくと、その1件の契約で家族全員が補償対象になります。

家族とは
記名被保険者(本人)
記名被保険者の配偶者
記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
記名被保険者及びその配偶者の別居の未婚の子

更に弁護士費用特約だけを利用する場合は、「ノーカウント事故」になり、等級に影響しないため、翌年保険料が高くなったりしません。

遠慮なく弁護士費用特約を使って事故の交渉を有利にすすめるべきですね。

 

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