あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下あいおいニッセイ同和損保)は2023年1月から大手損保では初めて「ペット保険」を発売開始します。
あいおいニッセイ同和損保は、従来子会社のau損保と共同保険方式でペット保険を販売していましたが、2023年1月1日から単独で商品開発をしたペット保険「ワンにゅんdeきゅん」を発売します。
目次
ペット保険の市場とは
日本ではペット(犬や猫)の飼育する家庭は全体の約19%と、5世帯に1世帯が犬や猫を飼育していることになります。(犬や猫の飼育頭数は2021年の統計では約1600万頭となっています)
2021年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)は、前年に比べ19万人少ない1493万人(総務省統計局のデータ)で、ペットの飼育頭数よりも少なく、ペットに関する市場は非常に大きいものとなっています。
このことから、ペット保険のマーケットは毎年10%以上伸びており、2023年度のペット保険マーケット規模は1200億円を超えると言われています。
何故大手損保がペット保険を販売するのか?
損害保険のマーケットは、人口の減少や若者の車離れ、安全運転技術の進化などが原因で、主力の自動車保険収入が将来的に縮小することが見込まれています。
大手損害保険会社は、現在火災保険が自然災害の増加で赤字となっており、その赤字を自動車保険の利益で埋めているのが現状で、自動車保険の縮小が避けられない現状では、他の収益源を確保する必要があるのです。
あいおいニッセイ同和損保は、大手損害保険4社の中でも自動車保険の比率が高く、他の収益源をペット保険に求めているものと思われます。
ペット保険の必要性とは
日本のペット保険の加入率は、欧米と比べて低いと言われていて、約9.1%程度です。
反面、ペットは人間のような健康保険がないため、治療費は全額自己負担であり、高額になりがちで、治療費合計が3万円以上となる割合が約42%と家計費を圧迫してしまいます。
更に人間と同じようにペットの平均寿命が延びており、11歳以上では年間10万円以上の治療費がかかると言われていますので、ペット保険に加入することで、治療費の負担を減らすことが必要になってきます。
あいおいニッセイ同和のペット保険の特徴とは
あいおいニッセイ同和損保のペット保険「ワンにゃんdeきゅん」の商品内容は、以下の通りとなっています。
基本補償(治療費用保険金額)
被保険者の所有・管理する「犬」または「猫」が身体障害を被り、日本国内の動物病院において「入院または手術」による治療を受けた場合に、それにより発生した治療費用を負担したことににより被った損害を補償する。(保険金支払い割合を50%、70%、90%から選択)
通院治療費用保険金
通院治療費用保険金補償特約をセットすることで、基本補償では対象にならない「手術を伴わない通院」による治療についても補償の対象となる。
葬祭費用補償特約
「葬祭費用補償特約」をセットすることで、ペットが保険期間中に死亡した場合の葬祭費用を補償します。(加入は10歳まで可能で最大3万円)
加入できる条件は
あいおいニッセイ同和損保の「ワンにゃんdeきゅん」は以下の加入条件があります。
- 契約者は個人に限定(ペットショップやブリーダーは加入できません)
- 「犬」または「猫」が対象(ウサギなどの小動物は対象外)
- 商業目的や繁殖目的の犬や猫は対象外
- 加入できるペットの年齢制限あり(新規加入は10歳まで)
- 定型プランのみの販売(フリー設計はできません)
- 加入する犬や猫の健康告知が必要
- 契約時にペットの写真が必要
- 他社との重複加入はできない
- 支払いを受けた保険金の合計額が治療費用保険金の支払い限度額に達した場合、保険契約は失効する
- 加入時には待期期間があります。(治療の原因となった身体障害が「疾病」の場合、保険始期日から30日をを経過した日より前の場合支払い対象外になります)
セット割引5%が適用できる条件とは
あいおいニッセイ同和損保の「ワンにゃんdeきゅん」には、同社に「個人用の自動車保険」または「住宅用の火災保険」に既に加入している場合、5%のセット割引が適用されます。
これは大手損害保険会社ならではの特徴と言えます。
治療費の支払限度額は加入プランで異なる
「ワンにゃんdeきゅん」は選択した保険金支払割合に応じて支払い限度額が設定されます。
保険金支払割合 | 支払限度額 | |
入院・手術 | 通院 | |
90% | 90万円 | 36万円 |
70% | 70万円 | 28万円 |
50% | 50万円 | 20万円 |
*プランにより保険金支払割合や通院補償の有無が選択可能
付帯されるサービス
「ワンにゃんdeきゅん」に加入した場合、以下の獣医師電話相談が24時間365日無料で提供されます。
- ペットのケガや病気に加え、病気予防・健康維持のポイントの相談
- 最寄りの動物病院・夜間診療の紹介や動物病院での診断内容・治療内容に関する相談
- しつけ・行動・食事やおやつの与え方に関する相談等
「ワンにゃんdeきゅん」の保険料例
「ワンにゃんdeきゅん」は大手損害保険会社が販売するため、多くは既存の自動車保険や火災保険の契約者に販売することが予想されますので、セット割引適用後の保険料になります。
保険金割合90% 通院あり | トイ・プードル等 | フレンチ。ブルドック等 | ゴールデン・レトリーバー等 | 猫 |
0才 | 31,510円 | 54,080円 | 65,020円 | 27,200円 |
2才 | 27,340円 | 47,770円 | 55,700円 | 25,510円 |
5才 | 41,880円 | 64,500円 | 77,550円 | 34,040円 |
7才 | 39,310円 | 93,620円 | 112,410円 | 43,600円 |
*保険料例は一時払い(分割払いも可)
既存ペット保険との相違点
あいおいニッセイ同和の「ワンにゃんdeきゅん」は大手損害保険会社が販売するため、主に代理店経由の販売になりますので、自動車保険や火災保険の更新の際に、ペットを飼育している契約者にすすめてくるものと思われます。
現在一部ペット保険の契約では、動物病院と提携して、治療費をペット保険の支払との差額のみの支払で済む場合がありますが、「ワンにゃんdeきゅん」では飼い主が一度全額を負担してから保険金を請求することになりますので注意が必要です。