自動車保険には、自動的に他車運転特約(他社運転危険担保特約や他車運転危険補償特約も同じ)が付いてきますが、この特約は、他人の車を臨時に借りて起きた事故の時に、借りた車を契約した車とみなして、契約した車の契約内容に応じて保険金が支払われるものです。
目次
自動車保険の他車運転特約とは
自動車保険は、契約している人ではなく、契約している車に対して保険がかかっていますので、通常友人の車を借りて事故を起こしてしまった場合、事故を起こした人の加入する保険ではなく、車の所有者の加入する保険を使って事故処理をするのが一般的ですが、友人が加入する自動車保険を使ってしまうと、その「等級」に影響してしまいます。
他車運転特約(他車運転危険補償特約)とは、友人の車など、他人の車を臨時に借りて運転して事故を起こした場合に、その車にかけている自動車保険ではなく、自分の自動車保険を使って保険金を支払う特約なので、自動車を貸した友人には迷惑をかけることなく、自分の自動車保険で事故の対応ができます。
他車運転特約の「他車」とは?
他車運転特約の「他車」とは、契約している自動車保険の記名被保険者やその同居の親族以外が所有・使用する車のことで、以下のような場合が対象になります。
・友人の車を借りてドライブに行った場合
・車の修理の為に、自動車整備工場から代車を借りて使用していた場合
・レンタカーを借りて旅行に出かけた場合 など
他車運転特約の対象となる借りた車の車種
他車運転特約の対象となる車の車種は自家用8車種に限られます。
・自家用普通乗用車、・自家用小型乗用車、・自家用軽四輪乗用車、・自家用軽四輪貨物車、・自家用小型貨物車、・自家用普通貨物車(最大積載量0.5t以下)、・自家用普通貨物車(最大積載量0.5t超~2t以下)、・キャンピング車
また、契約している車が二輪自動車や原付の場合は、借りた車が同じ二輪自動車・原付の場合に対象となります。
「他車」とは認められない場合
他車運転特約は、借りた車が他人の所有する車の事故が対象であり、以下の人が所有・常時使用している車の場合は、「他車」とは認められず、使うことができません。
・記名被保険者またはその配偶者
・記名被保険者またはその配偶者のの同居の親族
・記名被保険者・その配偶者の別居の未婚の子が所有・常時使用する車を、別居の子自身が運転する場合の車
車を常時使用とは、その車の使用頻度や使用期間、支配関係(キーの保険の有無や駐車場と借りた人の住居の距離、借りた車の維持費の負担など)を総合的に判断されます。
他車運転特約を使える人は?
他車運転特約を使える人は以下の人になります
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
・記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
但し、他車運転特約は、借りた車を契約しているとみなして、自分が加入していいる自動車保険が使えるもので、もともとの自動車保険の加入条件が適用され、加入している自動車保険の運転者限定特約や運転者年齢条件以外の人は、この他車運転特約を使えません。
・運転者範囲は本人・配偶者限定(夫婦限定)
・運転者年齢条件は26歳以上補償
この条件で他車運転特約を使える人は、26歳以上の記名被保険者とその配偶者だけになります。
他車運転特約で補償されるもの
他車運転特約で補償されるものは、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険、人身傷害保険、車両保険ですが、車両保険は、自分が加入している自動車保険に車両保険が付いていないと補償されません。
また、車両保険には。一般補償(オールリスク型)と限定補償(エコノミー型)とありますが、自分が加入している自動車保険と同じ条件での支払いとなります。
例えば、自分が加入している車両保険が限定補償(エコノミー型)の場合で、借りた車の事故が自損事故では、車両保険は使えません。
【参考】補償内容の比較
他車運転特約の車両保険の支払い方
他車運転特約で借りた車の損害を車両保険が支払われる場合、自分が加入している車両保険の保険金額(補償額)に金額に関係なく、借りた車の時価額(車の価値)を限度に保険金が支払われます。
例えば次のような場合
借りた車の修理費が200万円もかかってしまいますが、自分が加入している車両保険はの保険金額は30万円です。
他車運転特約の車両保険は、自分が加入している車両保険の補償額にかかわらず、借りた車の時価額まで請求できますので、この例の場合、200万円の修理費が支払われます。
まとめ
自動車保険に加入すると、「他車運転特約」が自動的に付いてきます。
友人と友人の車でドライブに出かけて、途中で運転を変わる場合や、車の修理や車検の時の代車を運転しているときの事故などに、「他車運転特約」が使えますので安心ですが、事故で保険金を請求すると自動車保険の「等級」に影響してしまいます。
また、「他車運転特約」も万能ではなく、損害保険会社により取り扱いは異なりますが、一般的に以下のような事故は対象にはなりません。
・借りた車が信号待ちで後ろから追突されたが、相手が無保険で修理費を払ってもらえない場合の車両保険使用
・借りた車が盗難された場合の車両保険使用
・借りた車の事故に伴う間接損害(代車費用など)
・借りた車を運転中以外の事故(エンジンを止めて車のドアを開けた時のバイクとの事故など)
・借りた車の所有者から承諾を得ないで運転した場合(また借りなど)
マイカーが普及している現在では、他人から車を借りることは少なくなりましたが、もしもの時の補償としては、頼りになります。