損害保険会社大手の損害保険ジャパンから、国内の自動車保険では、初めてスマートフォンアプリを使った安全運転割引の採用が発表されましたが、どのような割引制度なのでしょうか?
今回発表された「ポータブルスマイリングロード」アプリ自体は、新しく提供されたアプリではなく、法人向けに提供されていた、ドライブレコーダー機能や安全運転診断が付いた「スマイリングロード」をドライブレコーダー機能を外して、個人契約者向けにアプリ化したもので、以前から存在していました。
目次
ポータブルスマイリングロードの機能は?
ポータブルスマイリングロードアプリには3つの機能があります。
最新ナビ機能
おでかけプラン
興味を持っているジャンル・エリアのおでかけプランを提案してくれたり、人気スポットから最新イベントまで、全国各地のおでかけ情報をエリア別やジャンル別に探すことができて、ナビの目的地に登録できます。
目的地までのルートが5種類から選べる
「高速・無料・距離・ECO・安全」の5種類から、ドライブの目的に応じた最適なルートを選択できます。
「安全」では、損害保険会社の提供するアプリらしく、過去の事故などのデータから、事故多発地点を回避したルートが提供されます。
安心・安全機能
事故多発地点アラート機能
損保ジャパン日本興亜が保有する事故データを活用し、事故多発地点の500m手前で音声案内によりドライバーに警告してくれます。
リアルタイムドライブ情報
渋滞情報や駐車場の空き情報、ガソリンスタンドの場所や価格、さらには正確な到着時刻予測などを教えてくれる機能です。
安全運転やエコドライブの診断機能
アクセル、ブレーキ、ハンドリング、エコの4項目の評価で、その日の運転傾向を確認しながら、過去の運転の振り返りができる機能です。
お楽しみ機能
安全運転の全国ランキング機能
安全運転機能によって採点された結果が、全国ランクに反映されたり、その結果に応じてメダルが与えられたりする機能です。
また、安全運転診断の結果により、ポイントがもらえて、プレゼントに応募できます。
安全運転割引とは
今回発表された「安全運転割引」は、ポータブルスマイリングロードアプリの安全運転機能を使って、ドライバーの安全運転度を点数化して、その結果により自動車保険料を割り引くものです。
安全運転割引を受けられる条件は?
安全運転割引を受けられる条件は、今まで自動車保険に加入したことのない人が、初めて損保ジャパン日本興亜の自動車保険(THEくるまの保険か一般自動車保険」に加入する人が対象で、実際の割引開始は、平成30年1月1日から自動車保険が開始される契約からが対象になります。
安全運転割引を受けるまでの流れ
安全運転割引を受けるまでの流れは、
・自分のスマートフォンに「ポータブルスマイルロードアプリ」をダウンロードする。
・実際に運転をして、「ポータブルスマイリングロード」で安全運転の診断を行う。
・契約する日の10日前時点の、5日以上かつ10時間以上の有効な、安全運転診断を行った結果による点数で割引率が決定する。
安全運転割引の割引率は
獲得した点数による割引率は以下の通りです。
獲得した点数 | 6(S)等級 | 7(S)等級 |
80点~100点 | 20% | 5% |
60点~79点 | 12% | 3% |
6(S)等級とは、今まで自動車保険に加入したことがなく、初めて加入する人が適用される等級です。
7(S)等級とは、セカンドカー割引(複数所有新規)が使える人に適用される等級です。
安全運転割引が導入される理由
自動車保険の契約者は、日本の人口減少や若者の「車離れ」の影響で、自動車保険のマーケット(契約者の数)が減少することが見込まれています。
そのために、損害保険会社各社は、新しく車を買う人の自動車保険契約を、なんとか取り込もうと、新規契約者の割引を導入しています。
代表的なのが、東京海上日動や三井住友海上、あいおいニッセイ同和が採用している、「1日自動車保険」ですが、損保ジャパン日本興亜は、この1日自動車保険を発売していません。
1日自動車保険は、利用回数と事故の有無により、初めて車を買って、自動車保険に加入する時に、その実績により保険料の割引があります。
参考:1日自動車保険3社の比較
損保ジャパン日本興亜はこの「1日自動車保険」とは別路線で、若者などの新しい契約を獲得しようとしているのでしょう。
*損保ジャパン日本興亜のHPから引用
まとめ
損保ジャパン日本興亜の安全運転割引は、今まで自動車保険に加入したことがない、自動車保険の等級が、6(S)等級と7(S)等級の人に適用される、割引です。
まったく今まで自動車保険に加入したことがない人は、割引が進んだ人に比べると、保険料が割高であり、特に年齢条件が若い場合は特に高くなりますので、歓迎したい割引制度です。
しかしながら、7(S)等級でなく、6(S)等級で加入する人は、初めて車を購入する訳で、「ポータブルスマイリングロードアプリ」をスマホにダウンロードしてから、自動車保険を契約するまでの10日前までに、最低10時間かつ5日間の運転をする必要があります。
もちろん自動車保険に加入する前なので、自分の車を運転した場合は、自動車保険に加入していない「無保険状態」での運転となります。
友達の車を借りたり、レンタカーを借りたりして運転することはできますが、最低5日間の条件がありますので、あまり現実的とは思えません。
また、いつもは安全運転をしないドライバーが、「ポータブルスマイリングロードアプリ」を起動している時だけ安全運転をして点数を稼ぐことも可能です。
安全運転割引率の最高は20%引きなので、是非活用したい制度ですが、実際にこの割引を獲得するには、ハードルが高そうであり、不正な割引率獲得なども問題になりそうです。