一般の道路と異なり、高速道路では以下の義務を負うとされています。
- 最低速度を維持する義務
- 横断・転回・後退の禁止
- 本線車道通行車の本線車道侵入車に対する優先
- 本線車道出入り時の加速車線・減速車線通行義務
- 駐停車の原則禁止
- 燃料・冷却水・オイルの量や貨物の積載状況点検義務
- 本線車道等に停止した時の停止表示を行う義務
- 本線車道等に停止した時の退避義務
高速道路では、一般道に比べ、80㎞以上の高速で通行することから、ルールに従わずに走行した場合の過失を重く評価することになります。
進路変更に伴う事故
高速道路での追突事故の場合
目次
高速道路における過失割合の修正要素とは
追い越し車線
2以上の車両通行帯がある道路えは最も右側にある通行帯を「追い越し車線」といい、走行車線よりも高速で走行することが普通なので、追い越し車線に駐停車や落下物などが起きた場合は、走行車線よりも重い過失が求められる。
初心者マーク等
初心者マークやシルバーマーク、身体障害者標識などが走行している場合、その他の自動車の進路変更は相当の注意義務があるとされる。
速度違反
速度違反が著しい場合で、時速20㎞以上40㎞未満がある場合は10%、40㎞以上の速度違反がある場合は、20%の修正要素を加える。
合図なしまたは合図遅れ
左折や右折または、進路変更などの時は、ウインカー(方向指示器)などで合図をしなければならず、これに違反した場合を指す。
車道閉塞大
自動車を斜めに停止したり、横転したりして、車道を大きくふさいだ場合に適用される。
はみ出して駐停車
路側帯などに駐停車した場合にはみ出して駐停車した時
停止表示器材設置
高速道路では、故障や事故などで、本線や路肩、などに駐停車する場合、駐停車していることを表示しなければならないので、停止表示器材を設置する義務があります。(ハザードランプだけでは認められない)
視認不良
夜間や降雨などで視認不良の状態
著しい過失
主なものとして、脇見運転や著しいハンドル・ブレーキ操作、携帯電話の使用や注視など
重過失
主なものとして、故意に匹敵する過失や酒酔い運転、無免許運転、居眠り運転、過労、病気、薬物服用など
進路変更に伴う事故
高速道路に限りませんが、進路を変更する時は、変更後の進路と同じ方向に走行している後続車が、減速や進路変更をさせる怖れがある時は、進路変更をしてはいけないとされています。
走行車線から追い越し車線に進路変更する場合
基本過失割合 | 直進車Ⓐ 20 | 進路変更車Ⓑ 80 | |
修正要素 | A速度違反 | +10~20 | |
分岐点・手入り口付近 | +10 | ||
Aがゼブラゾーン走行 | +20 | ||
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 | ||
Bが合図なしまたは合図遅れ | +10 | ||
Aが初心者マーク | +10 | ||
進路変更禁止区域 | +10 | ||
Bがその他著しい過失・重過失 | +10 |
その他の進路変更の場合
追い越し車線から走行車線に進路変更する場合や、片側3車線以上の道路で走行車線から走行車線に進路変更する場合を想定しています。
基本過失割合 | 直進車Ⓐ 30 | 進路変更車Ⓑ 70 | |
修正要素 | A速度違反 | +10~20 | |
分岐点・手入り口付近 | +10 | ||
Aがゼブラゾーン走行 | +20 | ||
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 | ||
Bが合図なしまたは合図遅れ | +10 | ||
Aが初心者マーク | +10 | ||
進路変更禁止区域 | +10 | ||
Bがその他著しい過失・重過失 | +10 |
高速道路での追突事故の場合
高速道路は、一般道路とは異なり、最低速度を維持して走行する義務があり、駐停車は原則として、禁止されていることと、急ブレーキをかけた先行車にも、特別な事情がない限り、追突された車にも過失が発生します。
駐停車している車に過失がある場合の過失割合
高速道路上で、ガス欠やエンジントラブル、事故などの何らかの過失により、駐停車している車に追突した場合を想定しています。
基本過失割合 | 追突車Ⓐ 60 | 駐停車Ⓑ 40 | |
修正要素 | Aが速度違反 | +10~20 | |
Bが退避不能かつ停止表示機材設置等 | +20 | ||
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 | ||
視認不良 | +10 | ||
追い越し車線 | +10 | ||
Bの車道閉塞大 | +10 | ||
Bがその他著しい過失・重過失 | +10~20 |
駐停車している車に過失がない場合の過失割合
高速道路での駐停車の原因が、先行車の事故などで、過失がない場合を想定していますが、駐停車を退避できる状態であるか、退避できない状態でも、停止表示機材を設置しなかった時の過失割合となります。
駐停車している車が、退避不能な状態であったり、停止表示機材を設置していた場合など過失がない時には、Aの過失は100%となります。
基本過失割合 | 追突車Ⓐ 80 | 駐停車Ⓑ 20 | |
修正要素 | Aが速度違反 | +10~20 | |
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 | ||
視認不良 | +10 | ||
追い越し車線 | +10 | ||
Bの車道閉塞大 | +10 | ||
Bがその他著しい過失・重過失 | +10~20 |
路肩に駐停車中の車に対する追突事故
路肩は原則として、車の通行が禁止されていますが、故障や事故で駐停車している車に追突した場合には、追突車に過失があります。
基本過失割合 | 駐停車Ⓐ 0 | 追突車Ⓑ 100 | |
修正要素 | Bが速度違反 | +10~20 | |
Aが停止表示機材設置 | +10 | ||
Bがその他の重過失 | +10 | ||
視認不良 | +10~20 | ||
Aがはみ出して駐車 | +20 | ||
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 |
理由のない急ブレーキが原因の追突
車の運転者は、事故回避などの場合を除き、急ブレーキをかけてはならないとされており、特に時速80㎞以上を超える高速走行が許されている高速道路では、前方車が理由のない急ブレーキをかけて追突事故が発生した場合は、追突された車にも過失が発生します。
基本過失割合 | 追突車Ⓐ 50 | 被追突車Ⓑ 50 | |
修正要素 | Aが速度違反 | +10~20 | |
分岐点や出入り口付近 | +10 | ||
Aがその他著しい過失・重過失 | +10~20 | ||
Bの制動灯が故障 | +20 | ||
追い越し車線 | +10 | ||
Bがその他著しい過失・重過失 | +10~20 |
参照した文献 民事交通訴訟における「過失相殺率の認定基準」 判例タイムズ社