自動車共済制度は、経済産業省の認可を得た協同組合で運営されていて、特定の組合員の所有する自動車の事故を起こした場合に共済金を支払う制度です。
共済とは多くの人が出資金を出し合い、みんなで助け合う団体なので、基本的に営利目的ではなく、掛け金も一般の自動車保険よりも安く設定されています。(自動車保険の保険料にあたるものが掛け金です)
JA共済は世界的に見てもその規模が大きく、子会社化した共栄火災海上と合わせると、3メガ損保に次ぐ規模になります。
JAの自動車共済
JA(全国共済農業協同組合連合会)の自動車共済は共済系では最も一般的な共済です。
基本的にJAの組合員が加入できるものですが、組合員には「正組合員(農家組合員)」と「准組合員」の2種類があり、農家組合員以外の方が加入する場合は「准組合員」になる方法と「員外利用(組合員にならずに利用)」する方法があります。
出資金の額は、一口1,000円で、10口以上とか各地域のJAによって条件がバラバラですので、加入希望の場合は、最寄りのJAに照会してみてください。
JAの自動車共済「クルマスター」の3つの特徴
補償内容は一般の自動車保険と比べて遜色のない内容になっています。
独特な割引制度
①自賠責セット割引
自賠責保険に相当する自賠責共済に同時加入すると対人賠償共済の掛金が7%引きになります。
②農業用貨物車割引
正組合員(個人)またはその同居の親族が農業用として使用する自家用軽貨物自動車、自家用小型貨物自動車、自家用普通貨物自動車(0.5トン以下)、自家用普通貨物自動車(0.5トン超2トン以下)、自家用普通貨物自動車(2トン超)などを契約する場合、共済掛金が7%割引になります。
③複数契約割引
記名被共済者が個人で、複数台契約すると共済掛金が5%割引になります。(自家用8車種が対象)
④ゴールド免許割引
記名被保険者の免許証がゴールド免許なら、12.5%掛金が割引になります。
⑤自動継続特約割引
自動継続特約を付けると掛金が2%割引になります。
JA共済ならではの特約
季節農業用自動車保障特約
田植機・刈取脱穀作業車などの農業用機械で事故を起こし、法律上の損害賠償責任を負った場合や、自損事故により死傷した場合に、共済金が支払われます。
各種サービス
①事故を起こした際の充実したバックアップ体制
事故対応サービス拠点全国970か所とサービススタッフ5,700名
②事故受付と初動対応は24時間365日
初期対応専任スタッフが事故の相談から相手への初期対応を行います。
③休日契約者面談サービス
対人賠償事故で、相手が死亡の場合や入院した場合に、専任スタッフが契約者を訪問の上、相談に応じます。
④レッカー・ロードサービス付き
事故や故障時のレッカー・ロードサービス
事故・故障時のレッカーやロードサービスが24時間365日提供される
(レッカーは30㎞まで無料 ロードサービスは30分程度の作業まで無料)
その他の特徴
①使用目的の概念がない
一般的な自動車保険は使用目的で保険料が異なってきますが、JA共済のクルマスターにはありません。
②運転者範囲が家族限定のみ
運転者範囲に夫婦限定や本人限定が選択できません。
③新車割引が初度登録から13か月まで
一般の自動車保険の新車割引は25か月まで適用できる場合が多い。
一通り必要な補償や割引制度は充実していますが、残念なのは以下の特約がありません。
・個人賠償責任特約
・ファミリーバイク特約の人身傷害タイプ
・代車特約
まとめ
2013年10月に大幅な保険料改定があり、大幅な値上げとなっていて、今では代理店型自動車保険の保険料との差があまりなく、ダイレクト型自動車保険料ほどの割安感はなくなりました。
また、事故処理の担当者のスキルが低く、事故対応力に少し不安があり、支払いスピードも遅くなりがちです。
レッカーやロードサービスに関しても少々不満が残るレベルであり、コストパフォーマンスを考えると、ダイレクト型自動車保険に加入することをおすすめします。