自動車保険の契約者が、自らが「所有・使用」している車が10台以上になると、「フリート契約者」となりますが、フリート契約では、ノンフリート契約のように1台ごとのノンフリート等級ではなく、フリート契約者ごとの割引率や割増率が採用されて契約することになります。
ここでは、フリート契約者の割引・割増制度を説明します。
目次
総付保台数が10台になった「10台到達日」とは
自動車保険の契約者が、自らが「所有・使用」している車が10台以上となった日を「10台到達日」と言います。
ノンフリート契約は、10台到達した日以降フリート契約として契約することになりますが、10台到達した場合、ノンフリート契約とフリート契約を選択することはできず、必ずフリート契約者となります。
フリート解約は、保険期間が1年以上の自動車保険が10台以上あることが条件なので、10台目の車に1年以上の自動車保険に加入する場合、フリート契約として契約することになります。
フリートの割引・割増制度とは
フリート契約では、ノンフリート契約のように1台ごとのノンフリート等級ではなく、フリート契約者ごとの割引率や割増率を適用して契約します。
フリート契約は、車の用途・車種や加入する補償条件にかかわらず、各フリート契約者の台数や損害率に基づき決定された割引率や割増率を適用します。
それでは次にフリート契約の割引率や割増率が決定されるしくみを説明しましょう。
フリート契約の料率審査日とは
フリート契約者に適用される割引率や割増率は、契約者ごとに毎年1回決定します。
この割引率や割増率を決定する日を「料率審査日」といいます。
料率審査日で決定された割引率や割増率は、次回の料率審査日の前日まで契約するすべてのフリート契約に適用されます。
この「料率審査日」はどのようにして決まるのかを説明します。
第1回料率審査日とは
「第1回料率審査日」とは、フリート契約者として初めて割引率や割増率が決定して、それが適用される日です。
第1回料率審査日は、10台到達日時点で、「全車両一括特約」を付帯するかどうかで異なります。
全車両一括特約を付帯した場合の第1回料率審査日
所有・使用する車が10台に到達した日に、全車両一括特約を付帯した場合は、10台到達日の1年後の応当日が第1回料率審査日となります。
第1回料率審査日の1年後が第2回料率審査日となり、それ以降は1年ごとに料率審査日が到来します。
料率審査日は1度決定すると、それ以降変更することはありません。
全車両一括特約を付帯しない場合の第1回料率審査日
10台到達日に全車両一括特約を付帯しない場合の第1回料率審査日は、10台到達日の18か月後の応当日が属する月の初日になります。
例えば2018年4月15日に所有・使用する車が10台に到達して、「全車両一括特約」を付帯していない場合は、10台到達日の18か月後の応当日の所属する初日の2019年10月1日が「第1回料率審査日」となります。
10台到達日から第1回料率審査日の前日までの期間を「資格審査期間」といいます。
「全車両一括特約」は、契約者にとってメリットのある特約で無料で付帯できることから、今では10台到達日に「全車両一括特約」を付帯しないケースは少なくなっています。
フリート契約の割引・割増率決定のしくみ
フリート契約の割引や割増率の算出は以下の3点で決定します。
- 前年の割引・割増率
- 成績計算期間末時点の総付保台数
- 成績計算期間における損害率
前年度の割引・割増率とは
「前年度の割引。割増率」は、前年の料率審査日時点に適用されている割引・割増率のことです。
第1回料率審査日の場合の「前年度の割引・割増率」は?
はじめてフリート契約者になり、最初の割引・割増率が決定される「第1回料率審査日」の場合は、前年度の割引・割増率がないため、「平均無事故率」で計算されます。
平均無事故率とは、フリート契約者としてスタートした際の、ノンフリート等級別料率の係数を合計したものを総付保台数で割って平均化した数値のことです。
成績計算期間末時点の総付保台数とは
フリート契約の割引・割増率が決定される元となる成績を計算する期間を「成績計算期間」と言います。
成績計算期間は、料率審査日の6か月前の過去1年間になります。
また、成績期間末とは、成績計算期間の末日のことを言います。
全車両一括特約を付帯した場合の第1回料率審査の成績計算期間とは?
全車両一括特約を付帯した場合の成績計算期間は、「第1回料率審査日」が1年後の応当日となるため、第1回料率審査日の6か月前の過去6か月が成績計算期間となります。
「成績計算期間末」時点の総付保台数とは?
「成績計算期間末」時点の総付保台数とは、成績計算末時点での総付保台数にカウントされる車が何台あるかのことです。
総付保台数とは、1年以上を保険期間とする自動車保険契約に加入しているフリート契約者の所有・使用している車の台数のことです。
また、フリート契約の途中で増車した場合などの、料率審査日と満期日が一致している短期契約も含まれます。
フリート契約の成績計算期間における損害率とは
フリート契約の成績計算期間における損害率とは、フリート契約者が支払った保険料に対する保険金の割合のことを言います。
フリート契約の損害率の計算式
修正保険料とは、フリート契約の保険料に割引や割増などを適用する前のフラットな保険料のことです。
前述のとおり、フリート契約の割引・割増率は、「前年度の割引・割増率」と「成績計算期間末時点の総付保台数」、「成績計算期間の損害率」の3要素で決まります。
この3要素で次回料率審査後の割引・割増率が決定しますが、その結果自体は、加入している損害保険会社で多少異なります。
まとめ
フリート契約の割引・割増率は事故件数ではなく、支払った保険料に対する保険金の額で決定し、所有・使用する全ての車に適用されますので、割引率を獲得すればメリットも多いですが、事故多発ドライバー1人の影響が全ての車の保険料アップにつながるデメリットもあります。
10台そこそこの台数では、1件の大事故が保険料に大きく影響しますので、10台目以降の契約を共済に加入するなどして、無理にフリート契約に移行しなくてもいいと思います。