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自動車保険の「家族」の範囲とは
自動車保険の「家族」とは、一般的な家族の範囲よりも広い範囲の人を指しますが、その範囲は、「記名被保険者及びその配偶者、記名被保険者及びその配偶者の同居の親族、記名被保険者及び配偶者の別居の未婚の子」までになります。
同居の親族の「同居」の定義
同居の定義は、同一家屋内に住んでいることで、同一生計や、扶養の有無は関係ありません。
同一家屋とは
同一家屋の定義は、建物の主要構造部(外壁、柱、屋根)などを独立して備えている建物のことですが、生活をするための施設(台所など)を備えていない、「はなれ」や「趣味の部屋」などは、母屋と同一家屋とみなされます。
*単身赴任は別居となります。
*短期間の出稼ぎなどの一時的別居は、同居とみなします。
*大学などに通うために下宿している子供は、住民票に記載されているかどうかは関係なく、別居となります。
二世帯住宅の同居かどうかの判断基準
二世帯住宅で同居とみなされる場合
同じ建物で、真由美さんの家族が住んでいる場所と両親の住んでいいる部分が自由に行き来できる状態
二世帯住宅で別居とみなされる場合
同じ建物でも、それそれ独立した台所やトイレなどを備えてあり、建物の中を自由に行き来できない状態
同居の親族の対象範囲
自動車保険での同居の親族の範囲は、結構広く解釈されていて、記名被保険者(本人)と、その配偶者(内縁関係も含みます)、「6親等内の血族」、「3親等内の姻族」までを指します。
配偶者の考え方
自動車保険の配偶者には、婚姻届けを出している法律上の配偶者だけでなく、内縁(法律上の婚姻届けを出していないが、婚姻する意思があり、事実上の婚姻関係にある)の人も含まれます。
別居の未婚の子の定義
記名被保険者(本人)及びその配偶者の別居の未婚の子とは、両親から独立して生活している独身の子供のことですが、独身でも、婚姻歴のある場合は対象になりません。
気を付けたい補償の重複
自動車保険の補償の中には、一つの契約で、家族全員が補償されるものが少なくありませんので、複数の契約があると、補償が重複(ダブリ)してしまい、保険料が無駄になることがあります。
具体的には以下の補償について注意が必要です。
- 人身傷害保険の歩行中の補償
- 弁護士費用特約
- 個人賠償責任保険
- ファミリーバイク特約
- 日常生活弁護士費用特約など
例えば、一家で2台の車を所有していて、それぞれ自動車保険に加入している場合、弁護士費用特約などは、一つの契約で家族全員が補償されますので、1台にのみ加入しておけばいいのですが、2台とも弁護士費用特約に加入してしまうと、補償がダブってしまい、1台分の保険料がムダになってしまいます。
また、個人賠償責任保険などは、自動車保険以外にも、火災保険や傷害保険などにも付けることができる特約なので、家族が加入している、他の損害保険の補償内容も確認しておく必要があります。
まとめ
自動車保険には、「家族」という表現が多く出てきますが、一般的に使われている家族よりも広い範囲で使われますが、自動車保険に加入している人が、しっかり説明をされているとは限りません。
実際に起きた事故ですが、東京にアパートを借りて大学に通っている大学生が、自転車で通学する途中に、歩行者と接触して、ケガを負わせてしまいました。
自転車と歩行者の事故なので、当然自転車に乗っていた大学生が加害者であり、被害者のケガの治療費などを負担しなければなりません。
加害者は大学生であり、被害者のケガの損害賠償をする資力もないために、実家の父親が東京まで出てきて、被害者へのお見舞いや、示談交渉をしてようやく解決することができましたが、後日父親が加入している自動車保険に、「個人賠償責任保険」が付けられていることが判明しました。
個人賠償責任保険の「被保険者(この補償を使える人)は、記名被保険者(父親)の家族なので、実は、東京に住んでいる独身の息子も個人賠償責任保険を使うことができたのです。
自動車保険の個人賠償責任保険には、自動車保険と同様に「示談交渉サービス」が付いていますので、本来なら、被害者との交渉から、保険金支払い、示談までを全て保険会社に代行してもらえたのです。
自動車保険の「弁護士費用特約」や「ファミリーバイク特約」なども同様であり、家族に何らかの事故が発生した時は、加入している自動車保険をしっかり確認することが重要ですね。