自動車保険に加入する時に、「車両保険」に加入するかどうかは、支払える保険料の予算もあり、結構悩みどころですが、高い保険料を払う以上事故の時にどこまで補償されるのかが心配です。
事故が起きた時、自分の車の修理費が支払われるのが車両保険ですが、車の本体以外はどこまで補償されるのでしょうか。
目次
車両保険で対象になる車の付属品
車両保険で補償されるのは、一般的に自動車の専用品として車に定着されている、ラジオやオーディオ、カーナビやETC車載器及び標準工具、スペアタイヤなどです。
車に定着されているのが条件なので、持ち運べるナビや、スマホなどは、車内で使っていても補償対象にはなりません。よく車に載せられている物が車両保険で補償されるかどうかを考えてみます。
チャイルドシート
チャイルドシートは、シートベルトで固定して使われる物であり、その使い方通りに車に装備されていれば、その車の「付属品」となり、車両保険の補償対象になります。
チャイルドシートがシートベルトで固定されていない場合は、安全性が全く機能しない状態ですが、車内にある以上は車両保険の補償対象になりますが、車外に持ち出した場合は、補償対象外になります。
手で取り外しができるスキーキャリアなど
車に定着されているという条件は、ボルトやネジなどで車に固定されていて、工具などを使わなければ取り外せない状態ですが、実務上は、スキーキャリアなどのメーカーが指定している固定方法であれば、車の外に取り付けられていますが、「付属品」として車両保険の補償対象になります。
両面テープでダッシュボードに固定されているカーナビ
高価な自動車メーカーの純正カーナビなどは、完全に車に固定されていて、明らかに車両保険の補償対象になりますが、簡単に取り付けられるポータブルカーナビは、そのメーカーの取り扱い説明書通りに車に固定されていれば、「付属品」として車両保険の補償対象になります。
レーダー探知機
レーダー探知機については、損害保険会社によって取り扱いが異なっています。
自動車保険の補償内容が記載されている「約款」にレーダー探知機は補償対象外となっている場合が多く、車両保険の補償対象ではありません。
しかしながら、平成25年以降に「約款」を改正している自動車保険であれば、レーダー探知機が補償対象外の文言が無くなっている自動車保険もありますので、加入している保険会社に確認してみてください。
車のキー
エンジンキーは車の付属品の一部でなので、車に取り付けられている時は、付属品として車両保険の補償対象になりますが、車外にある間は車両保険の補償対象外となります。
リモコンエンジンスターター
最近では、リモコンエンジンスターターが無駄な暖機運転で、環境に悪いとの理由で以前より取り付ける人が減っていますが、寒冷地では、まだまだ多くの人が取り付けています。
リモコンエンジンスターターも、車の機能を発揮させるための装備として、「付属品」とみなされ車両保険の補償対象になります。
車載テレビ
主にミニバンなどに取り付けられている車載テレビは、後部座席などの子供が見るためにかなり普及していますが、運転手以外の人が視聴することは、法令違反にはならず、正式な付属品として扱われ、事故の際に車両保険の補償対象になります。
*運転手が運転中にテレビを見る(注視)することは、道路交通法違反になります
自動車等を運転する場合においては、当該自動車等が停止している時を除き、携帯電話装置等を通話のために使用し、または当該自動車に取り付けられ、若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
車両保険で請求できる修理費の範囲
事故を起こして、車を修理する場合は、当然事故の前の状態に戻すまでの修理費が払われますが、修理費の対象になるかどうか微妙なところを考えてみます。
ボディーコーティングなど
車を購入したあと、車屋さんや、ガソリンスタンドなどで、ボディーコーティングやフロントガラスコーティングなどを施してある場合、事故の修理の際に再加工を行った場合などは、車両保険の支払い対象になります。
ただし、ボディーコーティングを再加工する範囲は、実際に事故で修理をして場所に限られ、車全体を再コーティングする費用までは、支払い対象になりません。
ナンバープレートの交換
事故などで、車本体だけでなく、前後についているナンバープレートが破損した場合は、その交換費用も車両保険の対象になります。
一般的にナンバープレートの再発行は、車の所有者が自分で行うことは、考えにくく、自動車修理業者や自動車販売業者が代行で行う場合がほとんでであり。車の修理費と合わせて、ナンバープレートの再交付費用(ナンバープレートの再交付申請手数料や代行手数料)が支払い対象になります。
ドアを交換した場合のカギの取り扱い
車の事故で、前後のドアやトランクルームなどを修理ではなく、交換した場合は、それに付いているカギも一緒に交換することもあります。
車のカギは、通常一つのキーで、車についている全部のカギを開閉できますが、ドアなどを交換した場合、2つのキーを持つことになり、車の所有者にとっては、修理前より不便になってしまいますので、全部のカギをセットで交換する費用が支払われます。
尚最近では、ドアなどを交換する場合、元のキーに合わせて、カギを加工する方法もありますので、その費用も車両保険の支払い対象になります。
ちなみに、キーを紛失したために、車のカギを交換する費用などは車両保険の支払い対象にはなりません。
車のキーを盗まれた場合
車の中に置いてあったカバンなどと一緒に、車のキーも盗まれた場合は、キーの再作成費用は車両保険の支払い対象になりますが、盗難防止のためのドアなどのカギ交換費用は支払い対象になりません。
カギは車を使用する際の必需品であり、車の一部として盗まれたキーの再作成費用は、車両保険の支払い対象になりますが、その盗まれたキーによる盗難を防止するための費用は、車両保険の支払い対象にはなりません。
ただし、車のキーの盗難は、車の中に置いてあった場合や、ドアのカギに差しっぱなしの場合等に限られ、持ち歩いていた場合など、車外にある時の盗難は車両保険の支払い対象にはなりません。
盗難目的で車のカギを壊された場合
車両保険には、加入する条件で、一般条件(オールリスクタイプ)と限定補償(車対車+A)がありますが、どちらも「盗難」に対する補償が付いていますので、盗難目的でドアのカギを壊された場合、その修理費用は車両保険の支払い対象になります。
ちなみに、車内に置いてあったカバンやカメラなどの身の回り品が盗難にあった場合は、車両保険の支払い対象になりませんが、「車内外身の回り品特約」などの特約に加入していれば、その特約で補償されます。
この特約は、損害保険会社によって、車内だけ補償される特約と車外も補償される特約があります。
車外まで補償される自動車保険は、代理店型自動車保険ではあいおいニッセイ同和損保、ダイレクト型自動車保険ではSBI損保です。
*富士火災やソニー損保、アクサダイレクトは携行品特約など別の特約をセットすることで補償されます。
*携行品特約は火災保険や傷害保険でも特約で加入できますので、既に加入済かどうか確認をしてください。
タイヤの損害
車両保険では、パンクなどのタイヤの単独損害は、基本的に「免責」となり、車両保険の支払い対象にはなりませんが、タイヤ以外の部分が同時に破損している場合には、対象になります。
たとえば、車の運転中に縁石にぶつかり、タイヤとアルミホイールが両方損傷した場合などは、タイヤとアルミホイール両方の修理費などが車両保険の支払い対象になります。(単独事故なので、限定補償で加入している場合は、対象外になります)
まとめ
車両保険は、事故などで壊れた自分の車を修理するための保険ですが、車本体だけでなく、その車に定着されているものや付属物がほとんど補償対象になります。
確かに車両保険の保険料は高く、加入するには、それだけの保険料負担が必要ですが、いざ事故が発生した時に必ず役に立つものです。
支払える保険料の予算があまりない場合などは、安いダイレクト型自動車保険を賢く選び、なんとか車両保険付きで自動車保険に加入したいものです。
上手に保険会社を選べば、代理店型自動車保険に車両保険なしで加入する予算で、ダイレクト型自動車保険では車両保険付きで加入することができますので、複数の損害保険会社から見積もりを取り寄せることをおすすめします。