老齢年金のしくみを知ろうPart2(老齢厚生年金)

老齢厚生年金 老齢年金について

老齢厚生年金は、厚生年金保険から支給される老齢給付で、65歳から支給されます。ただし、要件を満たせば60歳以上で特別支給の老齢厚生年金が支給されます。 現行65歳までにもらえる「特別支給の老齢厚生年金」は平成13年度から定額部分が、報酬比例部分のみに移行し平成25年度から報酬比例部分が段階的になくなり、65歳支給に統一されます

老齢厚生年金とは

老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年以上)が必要です。

老齢厚生年金は、加入期間とその平均給与・賞与により金額が決まります。
一般的には給与が高かった人は保険料をたくさん払うことになり、その分受け取る年金額も増えます。

老齢厚生年金まとめ

  1. 老齢厚生年金は厚生年金保険から支給される老齢給付で、65歳から支給される
  2. 現行の制度では、要件を満たせば65歳になるまで、特別支給の老齢厚生年金が支給される
  3. 年金を受け取るためには、10年以上の老齢基礎年金受給資格が必要(平成29年4月から変更)
  4. 老齢厚生年金の支給額は、加入期間とその平均給与により決まる

老齢厚生年金保険の保険料について

平成15年4月から厚生年金保険の保険料は、総報酬制が導入され毎月の報酬に保険料率を乗じたものから、賞与にも保険料率を乗じたものも追加され、実質的に保険料負担が大幅に増加しました。

老齢厚生年金保険の保険料の計算の仕方

老齢厚生年金保険の保険料の計算の仕方は、4,5,6月の平均報酬月額を算出し、「平成29年9月からの厚生年金保険の保険料額表」の➁報酬月額に当てはめ、➀標準報酬月額を算出します。
この算出された金額が9月から翌年の8月までの標準報酬月額となりますので、この金額に保険料率を乗じた額が保険料として徴収されます。

厚生年金保険の保険料例

月収(報酬月額)30万円の場合は厚生年金の保険料額表から、標準月額29~31万円の19等級に該当し、標準報酬月額は30万円になります。

厚生年金保険料は、この30万円に厚生年金保険料率18.300%を乗じ、54,900円となりますが、実際の保険料は事業主と折半になりますので、27,450円が徴収されます。
尚、賞与も1回あたり150万を上限に料率を乗じた額の保険料を払うことになります。

標準報酬月額表についてー表の見方や等級の調べ方

老齢厚生年金保険の保険料についてまとめ

  1. 厚生年金保険の保険料額の計算方法は平成15年4月から総報酬制が導入された(平成15年3月までは毎月報酬から徴収され、平成15年4月以降は毎月の報酬&賞与から徴収される
  2. 標準報酬月額は4,5,6月の平均額で計算される
  3. 厚生年金保険料は標準報酬月額に保険料率を乗じて算出される(原則、毎年9月に保険料率が見直される)

 特別支給の老齢厚生年金とは

老齢厚生年金は、厚生年金保険から支給される老齢給付で、65歳から支給されます。ただし、要件を満たせば60歳以上で特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

特別支給の老齢厚生年金は、➀定額部分と➁報酬比例部分の2つがあります。

特別支給の老齢厚生年金とは、昭和61年の年金大改革により、老齢厚生年金が65歳から支給されることになったため、既得権を保護するための段階的削減に向けて定められたものです。
この段階的削減により、支給開始年齢は段階的に引き上げられなくなります。

男性は昭和36年(女性は昭和41年)4月1日以前生まれの方が、65歳になるまで受け取ることができます。

特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金保険の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年以上)を満たしている方が受給することができます。
*老齢基礎年金の受給資格期間は平成29年4月から10年以上に変更老齢基礎年金の受給要件

特別支給の老齢厚生年金の年金額

特別支給の老齢厚生年金は65歳からの老齢基礎年金にあたる定額部分と、65歳からの老齢厚生年金にあたる報酬比例部分との合算額になります。
計算は定額部分と報酬比例部分に分けて行います。

配偶者(65歳未満)の方がいる場合は、加給年金がプラスされます。

特別支給の老齢厚生年金の年金額まとめ

  1. 特別支給の老齢厚生年金は
    定額部分+報酬比例部分+加給年金との合算
  2. 計算は、定額部分と報酬比例部分からなる
  3. 配偶者(65歳まで)がいる人には加給年金がプラスされる

 

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢 *日本年金機構HPから引用

65歳からの老齢厚生年金の年金額

65歳からの老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年以上)を満たしている方に支給されます。
*老齢基礎年金の受給資格期間は平成29年8月から10年以上に変更されました

65歳から支給される老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せされて支給されます。

また、特別支給の老齢厚生年金を受給していた人は、65歳になった時点で定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に切り替わります。

65歳からの老齢基礎年金が特別支給の老齢厚生年金の定額部分を下回ることがあります。そのために、65歳からの老齢基礎年金が減らないように「経過的加算」が支給されます。

65歳からの老齢厚生年金の年金額まとめ

  1. 厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人が受給できる。
  2. 老齢基礎年金と併せて支給される
  3. 特別支給の老齢厚生年金を受給していた人は、65歳になった時点で定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に切り替わる
  4. 65歳からの老齢基礎年金が、定額部分を下回ると経過的加算が支給される
公的年金は2階建て

公的年金の仕組み *厚生労働省のHPから引用

加給年金と振替加算

加給年金は、生活資金を世帯単位で考えた制度で、年金受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合の生活資金として支給されます。

加給年金は、加入期間が原則20年以上(240月)以上ある年金受給者に対して通常の年金にプラスして一定額が支給されます。
また、配偶者の加給年金額は受給者の生年月日によって特別加算されます。

昭和41年4月1日以前生まれの加給年金対象者である配偶者が65歳になると、配偶者自身の老齢基礎年金がもらえるので、加給年金は打ち切りになりますが、それに代わる額として、配偶者の基礎年金に、生年月日ごとに決められた額が加算されます。これを振替加算といいます。

加給年金の額(2021年度)
対象者年額
配偶者224,700円
子供(1人目)224,700円
子供(2人目)224,700円
子供(3人目以降)74,900円
加給年金の特別加算額(2021年度)
受給権者の生年月日特別加算額
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日33,200円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日66,300円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日99,500円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日132,600円
昭和18年4月2日以降に生まれた人165,800円

加給年金と振替加算まとめ

  1. 加給年金は、65歳未満の配偶者や18歳の年度末までの子供がいる場合に支給される
  2. 被保険者の厚生年金加入期間は、原則として20年以上必要
  3. 配偶者の加給年金金額は、受給者の生年月日によって特別加算がある
  4. 昭和41年4月1日以前生まれの加給年金対象者である配偶者が65歳になると、加給年金は打ち切られ、振替加算が支給される

在職老齢年金(働きながら老齢厚生年金を受給する)

老齢厚生年金の受給者が、会社に就職して厚生年金保険に加入した場合は、老齢厚生年金の受給額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。

在職老齢年金の計算方法は2通りの方法があります。

  • 60歳~65歳になるまでの在職老齢年金の計算
  • 65歳以後の在職老齢年金の計算

60歳以上65歳未満の在職老齢年金

在職老齢年金の計算式(60~65歳未満)

令和3年4月現在

65歳以後の在職老齢年金

在職老齢年金の計算式(65歳以後)

令和3年4月現在

在職老齢年金の用語
●基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の額
●総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12

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早期退職して田舎暮らしの元大手損保支社長
大手損保を早期退職して、田舎暮らしをしている元支社長が、自動車保険に賢く加入する方法を解説しています。 趣味は野菜作りとバイクのツーリングで、冬季はオーディオの自作と温泉巡りをして楽しんでいます。