自動車保険のフリート契約は、加入する契約者が所有権を有し、かつ自ら使用する全ての自動車に同一の割増引率を適用します。
そのため、「所有・使用」していない車両が混入すると適正な割増引率が算出できなくなります。
また、本来フリートに含めることができない自動車に、フリートの割増引率を適用することは、ルール違反となってしまいますので、フリート契約を契約するときは、必ず車検証などの確認資料を提出することが必要になります。
目次
フリート契約における「所有・使用」する自動車とは
フリート契約における「所有・使用」する自動車とは、加入する契約者が所有権を有し、かつ自ら使用する自動車のことを言います。
ただし、以下の場合は「所有・使用自動車」とみなします。
- 保険契約者が「所有権留保条項付売買契約」により購入し、かつ自ら使用する自動車
- 保険契約者がリース業者から1年以上を期間とする賃貸借契約(リース契約)により借り入れ、かつ自ら使用するリースカー
- 保険契約者が国または地方公共団体から借り入れ、かつ自ら使用する自動車
- 保険契約者が「公益法人」の場合で、国または「公共団体」から借り入れ、かつ自ら使用する自動車
公益法人とは、営利を目的としない公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人及び一般財団法人のこと。(宗教法人や学校法人、社会福祉法人、医療法人等も含みます)
公共団体とは、都道府県や市町村などの地方公共団体や公共組合(国民健康保険組合や農業共済組合、漁業共済組合など)、営造物法人(公団や公庫など)を言います。
フリート契約者の「所有・使用」を証明する確認資料
フリート契約者が契約する自動車を、自ら「所有・使用」していることを証明するために、車検証等の公的な確認資料のコピーを提出しますが、所有・使用実態に合わせて、その他の確認資料でも代用することができます。
フリート契約者の所有自動車の場合
フリート契約者が所有権を有し、かつ自ら使用する自動車である場合は、次の確認資料を提出します。
- 登録自動車(自家用乗用車や営業用乗用車貨物車など)→自動車検査証や登録事項証明書
- 検査対象軽自動車(自家用軽四輪乗用車など)→自動車検査証や検査記録事項等証明書
- 小型二輪自動車(排気量250cc超)→自動車検査証や検査記録事項等証明書
- 検査対象外の軽自動車(排気量125cc超250cc以下の二輪など)→軽自動車届出済証
- 小型特殊自動車や原動機付自転車→標識交付証明書や軽自動車税申告書、自賠責保険証明書
提出した確認資料で確認することは以下のとおりです。
- 確認資料上の所有者・使用者がいずれもフリート契約者と一致していること
- 保険始期日や申込日が車検有効期間内であること
- 確認資料上の登録番号が保険契約上の登録番号・車体番号と一致していること
*軽自動車届済証や標識交付証明書は有効期間欄がないので、有効期限の確認は必要ありません。
提出した確認資料上の「所有者・使用者」がフリート契約者と異なる場合の取り扱い
提出した確認資料上の「所有者・使用者」がフリート契約者と異なる場合は、車検証などの確認資料と合わせて「補完資料」を提出することで、「所有・使用自動車」として扱ってもらえます。
補完資料は以下の中から提出可能なもので大丈夫です。
- 購入した自動車の売買契約書または請求書
- 購入した自動車の注文書+領収書(または出納長)→注文書と領収書または出納帳上の金額が一致していることが必要
- 自動車税納税証明書または自動車税納税通知書兼領収証書→納税者名がフリート契約者と異なっている場合は、フリート契約者の出納帳・領収書・通帳などの支払日や領収日が一致していることが必要
- 固定資産台帳
所有権留保条項付売買契約自動車の場合
フリート契約者が所有権留保条項付売買契約で自動車を購入した場合、自ら使用する自動車であることを証明するため、車検証等の確認資料を提出しますが確認事項は以下のとおりです。
- 車検証等の所有者が自動車販売業者または金融機関であること
- 車検証等の使用者がフリート契約者であること
- 車検証等が直近分であること
所有権留保条項付売買契約で中古自動車を購入して、車検証等の使用者欄が名義変更前で、フリート契約者と異なる場合は、前述「フリート契約者の所有自動車の場合」と同様の補完資料を提出することで代用できます。
リースカーの場合
フリート契約者がリース業者から1年以上を期間とするリース契約により借り入れ、かつ自ら使用する自動車の場合は、車検証等かリース契約書のいずれかの確認資料を提出します。
リース契約の場合の確認事項は以下のとおりです。
提出書類が車検証等の場合
提出する車検証等で以下の内容が確認できることが条件となります。
- 車検証等の所有者がリース業者であること
- 車検証等の使用者欄がフリート契約者であること
- 直近分であること
リース契約書の場合
リース契約書を確認資料とする場合は、以下の内容が確認できることが必要です。
- 貸主が車両所有者であるリース業者であること
- 借主がフリート契約者であること
- 保険始期または増車日がリース期間内であること
- リース期間が1年以上であること
- 確認対象自動車が特定できること
国または地方公共団体(公共団体)から借り入れた自動車の場合
国または地方公共団体(公共団体)から借り入れ、かつ、自ら使用する自動車であることを確認するため、次の確認資料を提出します。
提出書類が車検証等の場合
提出する車検証等で以下の内容が確認できることが条件となります。
- 車検証等の所有者が国または地方公共団体(公共団体)であること
- 車検証等の使用者がフリート契約者であること
- 確認対象自動車が特定できること
車検証等以外を確認資料とする場合
車検証等以外を確認資料とする場合は、「業務委託契約書」または、「請負契約書」、「賃借契約書」「貸与証明書」のいずれかを確認資料としますが、以下の内容が確認できることが条件となります。
- 貸主である国または地方公共団体(公共団体)と、借主であるフリート契約者の間で賃借関係があること
- 国または地方公共団体(公共団体)とフリート契約者双方の押印があること
- 保険始期日または変更日(増車の場合は増車日)が賃借期間内にあること
- 確認対象自動車の特定ができること
構内専用車の場合の確認資料
構内専用車とは、専ら工場などの構内限定で使用され、登録番号標や車両番号標、標識番号標のない自動車のことです。
構内専用車は、「所有・使用」を証明する車検証等がなく、確認資料として認められるものは以下の通りとなります。
- 特定自主検査記録表(発行者の確認ができること)
- 定期点検記録表 ( 〃 )
- クレーン検査証 ( 〃 )
- 構内乗入証 ( 〃 )
- 保証書 (販売者の確認ができること)
- 納品書 ( 〃 )
- メンテナンス契約書( 〃 )
- 自賠責保険証明書
- 注文書・領収書・請求書
- 自動車税納税証明書または自動車税納税通知書兼領収証書
- 写真(所有・使用自動車確認書も必要)
- 固定資産台帳
まとめ
フリート契約者が契約する自動車が、「所有・使用」している事を確認する提出資料は、加入する保険会社でかなり異なりますので、車検証等で確認できない場合は、加入している保険会社に確認してください。
また、最近では、ペーパーレスの進展で、契約車両全ての確認資料の提出を省力して、「所有・使用自動車確認書」で代用することが主流になりつつありますが、扱う代理店は必ず「所有・使用」を確認する義務があります。