対物事故の時 自動車保険で払ってもらえる2つの損害とは

交通事故の豆知識

事故で一方的に車をぶつけられた時は、相手の「対物賠償責任保険(対物賠償保険)」で賠償してもらいます。
今はほとんどの人が対物賠償責任保険に「無制限」で加入していますので、補償が足りないことはないでしょう。
それでは、実際被害者になった場合、何を払ってもらえるのでしょうか。

対物賠償責任保険で対象になるのは、直接損害と間接損害の2種類となります。

直接損害

直接損害とは、事故により失われた車の価値のことで、壊された車を元の状態に戻す費用(修理費用など)が支払われます。

車の修理費、または全損時の車両時価額

被害を受けた車を元通りにに修理する修理費が払われますが、被害が大きく、修理費が高額になる場合、いわゆる「経済的全損」の場合は、その車の「時価額」を超える損害は払ってもらえません。

但し、今では当たり前になっている「対物差額修理費特約」などの特約が相手の自動車保険に付いていると、実際に修理することが条件ですが、最高50万円までの差額を払ってもらえます。

事故車の引揚・牽引・運搬・回送費用等

被害を受けた車が、自走不能の場合、その車の引揚・牽引・運搬・回送費用などが払われます。
この場合のレッカー距離等は、サービスで付いてくるロードサービスなどのように、搬送距離に制限がないのが一般的です。

その他の被害物(修理費または時価額)

事故により、時計、メガネ、携帯電話等が壊れたり、洋服が汚れたりした場合もその修理費やクリーニング代などが支払われますが、あくまで車の損害と同じ取り扱いなので、その「時価額」が限度になります。

間接損害

間接損害には、代車費用などの実際に「支出を余儀なくされた損害」と、休車損害や営業損害、格落ち損害などの「本来得ることができた利益の損害」の2種類があります。

支出を余儀なくされた損害

支出を余儀なくされた損害の代表は、損害を受けた車の代わりを用意した費用の「代車損害」です。

代車損害

事故で車を使えなくなったときに、代わりに使用した交通機関の運賃や車のレンタル料をいいます。

<代車の種類>

・レンタカー(被害を受けた車と同程度の車)
・車を修理した自動車整備工場所有の代車
・友人、知人から一時的に借りた車
*一般的に自動車修理工場の代車や友人から借りた代車には、その所有者に1日あたり3,000円程度の代車費用が支払われます。

<代車提供期間>

分損の場合は損害を受けた車の修理に必要な期間。
全損の場合は保険会社によって対応が異なりますが、おおむね2週間から1か月程度が目安。

自分に過失があった場合の代車提供

一般的に損害保険会社は、相手に過失のない場合(相手の過失がゼロ)にだけ代車提供を認めますが、法律的な根拠はなく、損害保険業界共通の勝手なルールです。

たとえ自分に過失が20%あるとすると、代車を借りた費用のうち、相手の過失分の80%は請求できるハズですが、損害保険会社は絶対認めようとはしません。

実際にレンタカーなどの代車を借りて、その請求書(または領収書)を添えて、相手の損害保険会社に請求すれば、払ってもらえる可能性がありますが、その代車を借りる必然性(代わりになる交通手段がないかなど)を調査されることになります。

代車提供については、損害保険会社によって大きく方針が異なりますので、あくまで自己責任でお願いします

本来得ることができた利益の損害

休車損害

タクシーやハイヤー・トラックなどの営業車両(いわゆる緑ナンバー)で、事故で車が動かなくなったため、手に入れられなくなった営業利益で、実際に休車損害が発生した場合は過去の営業利益などの立証書類に基づいて払われます。

休車損害は、実際に損害が発生していることが支払い条件になりますので、他に同様の車を所有していて、実際に営業利益が減少していない場合などは支払われません。

損害保険会社が基本としている営業車の休業損失の目安は、おおむね以下のとおりです。

車の種類休車損害目安
ハイヤー8,000円~9,000円/1日
個人・法人タクシー7,000円~8,000円/1日
トラック1tあたり2,000円/1日
貸切バス客観的な資料に基づき支払い
乗合バス否認の可能性大

 

格落損害

事故により破損した車に対して、十分な修理が行われても修理後の車両価格が事故前の車両価格を下回る場合の差額損害、あるいは破損した自動車を修理しても、なお完全に復元し得ないことによって生ずる損害をいいます。

格落ち損害は、実際にその損害が発生しているかの判断が難しく、損害保険会社はなかなか認めようとはしません。
損害保険会社が格落ち損害を認める判断基準の目安は

①用途が自家用自動車であること(この車種に限定している意味が解りませんが)
②購入後間もないこと(目安は、新車購入後2ケ月もしくは走行距離2,000km以内)
③被害を受けた車の損害がフレームまで及んでおり、修理費が高額であること
④事故前に下取り・売却の予定があり、既に決定してたその価格が実際に下がった場合
いずれの場合も被害者に過失がない場合が条件です。

格落損害で支払われる金額は以下の中で一番低い金額

◆修理代の10~20%
◆事故直前の時価額の10%
◆(事故前に決定している売却または下取り価格)-(事故による修理完了後の売却または下取り価格)

まとめ

人身事故を伴わない事故の場合、最終的には車を修理して、示談で終了になる場合がほとんどですが、自分に過失がなく、相手が100%悪い事故の場合、車が修理されて直っても、車を壊された精神的なダメージや、事故により費やされた時間などへの賠償はハッキリ言って全くありません。

人身事故であれば、慰謝料や後遺障害などが補償されますが、物損事故は、「壊れた車などを直して終わり」なのです。

過去の判例では、ペットが事故により重い後遺障害が残った事故で、飼い主に40万円の慰謝料が認められた例(名古屋高裁平成20年9月30日)がありますが、実際に車の損害では「直して終わり」です。

事故は起こしたくて起こすわけではありませんが、相手が100%悪い「もらい事故」も十分に注意をしていれば防げる場合が多いので、周囲を走っている車には十分に注意しましょう。

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